パチンコ界のデフレ現象、低貸し玉パチンコ/パチスロが上手く行ったのか否か、ということを考えてみます。

低貸し玉パチンコというのは、
ギャンブル中毒から自己破産者が多発したことは「ギャンブル性の高さが問題である」という批判をかわすため、ギャンブル性を低くしようとしたこと、
同時に、負の業界イメージが付いてしまったことを払拭し、パチンコをもっと身近な娯楽として普及させようとするパチンコ業界の思惑が背景にあり、
従来のパチンコの貸し玉4円、スロット貸し玉5円という一定のレートを緩和し、2円や1円などのギャンブル性を低くする流れのことです。
ダイナム6~10当たりの中で記載したような消費者金融業者からの資金供給が止められたこともあって、徐々に普及して行きました(たぶん)。

低貸玉ではない、「ふつうのダイナム」、低貸玉を扱っている「ゆったり館」、「信頼の森」のブランド別の利益を見て参ります。
25-1
 

注:売上総利益というのは、正確ではありませんが、各ブランドのセグメント売上高から店舗運営費用(Hall Operating expenses)を差し引いたものとしています。

会社全体では絶好調で営業利益率20%を確保しているものの、
ブランド別にみると、収益性が異なっています。

一番収益性が高いのは、高単価パチンコの「ふつうのダイナム」約20%です。
次に、低単価パチンコながら、換金率が悪い「ゆったり館」約10%前後です。
そして同じく低単価パチンコである「信頼の森」が営業赤字となっています。

ここまでを一言で言ってしまうと、
「ふつうのダイナム」がいいじゃないか!
…で終わってしまいますが、しかしながら、「信頼の森」は年を経るごとに赤字幅が縮小していますし、
過去は過去として、なぜ収益性が低いのか?や、低貸玉ブランドに成長性がないのか?という視点でみる必要があります。

普通に考えると、低貸玉店舗は2倍から4倍の売上のbehindを抱えています。
例えば、1人のギャンブラーが1つの席を使って、1つの機械を使用して、時間当たりに使う金額は、
4円パチンコが40,000円であれば、
1円パチンコは10,000円にしかなりません。
しかし、お店の賃借料や人件費などの固定費は高貸玉店舗と同様に発生するため、
収益性が悪くなるのは当然なのです。
では、どうやったらいいか?改善の余地がないかという検証をしてみます。



そこで、ホール運営コストのうち主なものを見て行きます。
下記は、ブランド別・費目別に店舗平均コストを計算したものです。

①パチンコ台投資費用
25-2

パチンコ台投資費用は、「ふつうのダイナム」は店舗当たり150M前後ですが、低貸玉店舗の「ゆったり館」「信頼の森」は投資額が1/2~1/3程度になっています。

既出ですが、ブランド別の設置台数と、各店舗あたりの設置台数はこんな感じです(パチンコとパチスロを合わせています)。
25-3
 

機械の設置台数は、パチンコ/パチスロ合計して、
ふつうのダイナムは約480台/店舗
ゆったり館は約400台/店舗
信頼の森は約400台/店舗と設置台数はさほど変わりません。


別に低単価パチンコでも高単価パチンコと機械の構成部品/スペックは全く同じですから、仕入単価は変わりません。
ですので、
・新台導入をあまり導入しない(回転が長い)
・低単価店舗(「ゆったり館」と「信頼の森」)は単価の安い中古機を基本に使用している。
ということかと思います。





②宣伝広告費
25-4

広告宣伝費も台投資費用と同様に1/2~1/3程度に絞っています。
そもそも、対象をギャンブルに「どっぷり」という層を狙っているわけではないという発想なので、
「7の付く日は・・・」のように「出ます!出します!出させます!」みたいにバリバリ宣伝しなくてもいいからなのかもしれません。




【低単価パチンコ店のローコストぺレーション】
低単価パチンコ(「ゆったり館」と「信頼の森」)は売上単価が低い分、とにかく低コストで回そうと頑張っている。
 1.店舗あたり「人件費」が異なる
  ふつうのダイナム:約170百万円/店舗
  ゆったり館:約100万円/店舗
  信頼の森:約80百万円/店舗
 2.店舗あたり台への設備投資コストを大きく抑えている
  高貸玉の1/2~1/3程度 
  「ふつうのダイナム」の中古台を使用している、または、同じ機種の使用期間が長い
 3.広告宣伝費も大きく抑えている
  高貸玉の1/2~1/3程度
 4.一方、ブランドによって変わらないコストもある。
  ⇒水道光熱費/賃借料/G-pirze関連コストなどの固定費




限られた資源の中で、固定費をどうやって上手く回収できるように工夫できるか?難しいかじ取りだなぁ~と思います。

低貸玉パチンコを導入した狙いとしては、2つが考えられます。
①ギャンブル性を低くすることで、これまでユーザーでなかった若者層を取り込む
②消費者金融への引き締めなどがあり、高単価パチンコで遊びにくくなった既存ユーザーを引きとめる

市場規模の推移からすると、市場全体は縮小し続けています。
成功のシナリオとしては①かつ②の両方を取り込むことです。

しかし、蓋を開けてみれば、

①の新規ユーザーの取り込みには失敗しているように思います。
これは、FXやモバゲーとのガチンコの戦いになってしまいますが、
所得水準は減少傾向にあり内籠りがかなりのスピードで進行してしまった(ネオ草食化)
FXやソーシャルゲームとの戦いにも、パチンコの広告は既存ユーザーへのアピールが従来と変わらず、
新規層へのパチンコの魅力をアピール出来なかった…
すると、②ですが、既存ユーザーだけをみると、
低単価パチンコが出てくると、全体の総売上や利益は減少する傾向にあります。

この結果、低貸玉パチンコは「失敗だった」と思います。
いっそのこと、「カイジみたいな自堕落な生活を応援します!」と開き直れば良かったのに・・・



まだしばらく先でしょうが、
パチンコ業界はゲームセンター業界と同じような運命をたどる気がします。

何回も出てきているホール運営コストです。
24-1

さて、店舗運営コストを、運営している3ブランドに分解してみます。
分解したものは総額で表示されています。
もちろん、この合計金額は、全社コスト合計と一致します。

24-2

店舗数による影響があって、
比較しづらいのと、イメージがしづらいので、
ブランド別をさらに店舗数で按分して、
1店舗あたりの数値を出してみます。

24-3


店舗別に分解すると、いろいろな面白いものが見えてきます。
なお、以下の比較では、10年は「信頼の森」店舗を大きく増加させており、数値安定していないので比較からは除外します。



①店舗運営スタッフ人件費
24-4


ホールの人員数って同じぐらいかと思っていましたが、実は人員数が異なることが分かりました。
ふつうのダイナム:約170百万円/店舗
ゆったり館:約100万円/店舗
信頼の森:約80百万円/店舗
「ふつうのダイナム」が10人だとすると、「ゆったり館」は7人程度、「信頼の森」は5人程度となります。


ただし、店舗あたりの人件費を単純に絶対金額だけで比較してしまうと、
「ふつうのダイナム」が郊外大型店で人がたくさん必要となるなどミスリードの原因になるため、
店舗の広さも考慮に入れる必要があります。
台の設置台数が、店舗の広さと比例すると仮定して、ブランド別の設置台数も見てみました。


ブランド別の設置台数と、各店舗あたりの設置台数はこんな感じです(パチンコとパチスロを合わせています)。
24-5


ふつうのダイナムは約480台/店舗
ゆったり館は約400台/店舗
信頼の森は約400台/店舗となっています。
つまり、店舗あたりの機械設置台数は、
11年、12年ともに高単価パチンコである「ふつうのダイナム」が、低単価パチンコ「ゆったり館」/「信頼の森」の1.2倍です。
店舗の広さを考慮しても、面積当たりの店員数は、「ふつうのダイナム」はいっぱいいる一方、「信頼の森」/「ゆったり館」は少ないことがわかりました。


結論として、「ふつうのダイナム」は他の店舗形態に比べて従業員が多いということがわかりました。




ここからが、この数値から考える主張の部分です。
僕は、会社の財務分析は「価値」とともに考えるべきであると思っています。
安全性が高いとか低いとか、収益性・・・うんぬんというのは、
財務分析の1側面に過ぎなくて、「価値」にフォーカスして会社をみる必要があるのです。

さて、ギャンブラーがパチンコをする際に、一番重視する「価値」は何か?ということを考えてみます。
丁寧な接客応対(玉を運んでくれる、なんかあったら、すぐに来てくれる)をしてくれる店
②従業員は少ないものの、ジャンジャンばりばり出たり、常に新しい台が揃っている

もちろん、①も②も両方満たすホールが一番良いのですが、
経営資源に限りがある以上、どちらかを選ぶ必要がある
・・・となった場合、何に価値を置くでしょうか?

もしも、②ジャンジャンばりばり出ることに力点を置くのであれば、
「ふつうのダイナム」において、人件費の削減が可能だと思います。
人件費を削減して、台の投資やジャンジャンばりばり出す方向に行った方が良いと思います。

また、低単価パーラーと比較すると、店舗の広さも同じで、「信頼の森」よりも「ゆったり館」の方が高い人件費ですから、
オペレーションの仕方によっては、「ゆったり館」は人件費削減が可能だと思います。


ただし、この「価値」というのは顧客が感じる価値ですので、
もしかすると、地域であったり、対象となるターゲット年齢によって異なる可能性があります。


23-1


店舗数の推移は上記記載のように、
10年:331店舗
11年:350店舗
12年:355店舗と店舗数は増加傾向にあります。

一方、店舗運営コストは、
10年から11年にかけては1,347億円から1,442億円と+7.0%増加していますが、
11年から12年にかけては1,442億円から1,387億円と▲3.8%減少しています。
毎年店舗の損益構造が同じであれば、店舗運営コストは、店舗数に応じて増減します。
しかし、店舗数は増加しているものの、コストは減少している。

11年から12年にかけて、店舗数が増加している中で、コストが減少しているということは、どこかでコスト削減努力をしているということです。
それはどこなのか?
どういうインパクトがあるのか?
肝心の売上(顧客に提供している価値)を落とすという、デメリットが発生していないのか?


再び、ホール運営コストの内訳を見てみます。
23-2

こちらを前年比と増減を取ったものにしてみますと下記となります。
23-3


店舗数を増加させている中では、全体的にコスト削減をしている感じがします。
売上が全体的に減少しているなかなか苦しい状況の中、
「コスト削減せい!」の号令がかかっているんでしょう。
コストのうち、
支払賃料なんかの固定費は数年の賃貸契約を締結しているので、削減交渉が難しい。
人件費はある程度固定的に発生するが、店舗数の増加とともに増加はやむを得ない。
減価償却は固定資産投資の結果であるため、削減は短期的には考えにくい。


大きくコストを操作できるとしたら、
・出玉率(IFRSでは売上に含まれているGross-pay out)
・パチンコ台投資費用
・広告宣伝費
の3つでしょう。
やっぱり、これを増減しています。


一般的にはパチンコ台投資費用や、広告宣伝費は、短期的には利益に結びつきにくいコストです。
ですので、11年度から12年度にかけては上場を目前に控え、
できるだけ利益が出ているように見せるため、投資を絞ったのではないか?と推測されます。
パチンコ店は広告宣伝費は、比較的短期的な利益には結びつく気がするので(なんとかフェアとか言って)、
そこまで削減せず、パチンコ台投資を削減したのかもしれません(1年はそのまま使えますからね)。

ただ、気を付けるべき点としては、投資を絞ると、次年度以降の利益に影響が出てくる可能性があるということです。
つまり、パチンコ台の投資費用や広告宣伝費を削減すると、短期的な利益には直結するものの、
ノンプロのお客さんの飽きが来て、足が遠のいて結果、売上減少に陥るリスクを孕んでいます。

某メガバンクに勤める友人から、パチンコ産業への貸付は締めつけていると聞きますし、
それは資金が絞られている中で、このバランスをどうとるか・・・
このバランス感覚が難しいだろうなぁ・・・と感じており、研究対象に面白そうだと思います。


近い遊戯業界のゲームセンター業界は、ネットゲーム等の台頭に対抗するため、
ネット通信を含む設備投資の大型/多額化、店舗の大型化を経て、
ゲームセンター側の投資キャッシュが疲弊し、
ヘビーユーザー以外には飽きられ、
結果、ゲームセンターが、投資キャッシュが軽いUFOキャッチャーばかりになり、沈んでいく…
という悪循環が起きてしまいました。
パチンコ業界も、業界全体が沈んでいかないことを祈っています。

店舗運営コストはコスト全体の大部分(9割)を占めます。
コスト全体の大部分を占めるということは、こちらを詳細に見て行くことで、ダイナムの損益構造が分かります。

1)店舗運営コスト全体の増減
これは、店舗運営コストの3ヶ年推移です。
12年は355店舗を出店していて、約1,387億円ものコストが発生しています。凄いですね。
さて、こちらを費目別に分解してみます。
22-1







2.店舗運営コスト全体の費目別年度推移
年度の金額推移
22-2
 











12年のコストは上記1)に記載したのと同じく、合計は、約1,387億円(138,785百万円)となっています。

さらに、こちらを構成割合にしてみますと、このようになります。
22-3











費目では、人件費が3割強とパチンコ台投資3割弱で、全体の60%を占めていて、
これ以外には、減価償却費/店舗賃料/宣伝広告費/水道光熱費・・・なんかが続いています。

さて、こんな風に店舗運営コストが分かったところですが、
ドラマやマンガなんかで、警察官などの酔っ払いに嫌われる役系の公務員に対して
酔っ払いが「お前、誰のおかげで食べられると思ってるんだ!消費税分はやさしくしてくれてもいいじゃねーか!!」とやってるシーンがあります。
厳密には、この酔っ払いは、消費税の他、
・酒税(ビールの約30%)
・たばこ税(購入金額の約60%)などなどを払っていますが、、、

これと同じノリで行きますと、
パチンコで負けた人は、腹いせにホールで働かれている従業員に対して
「誰がお前の給料払っていると思ってるんだ!!俺が負けた金額の3割は主張してもいいはずだ!(何を?)
ということになります。
また、この場合、パチンコ台に向かっても公平に「誰がお前の…(中略)…3割弱は…(以下省略)…」と、台をぶったたくことの正当性を主張すべきです。
(ただし、3割という数値は、厳密には、利益等を考慮すると、原価割合に一致はしません)


だからか、パチンコホールの店員さんって、絶対に目を合しませんよね。

ってか、店員さんはホールと雇用契約を結んでいて、
労働の対価と給与を交換しているのであって、本当は全然筋違いなんですけどね・・・

【電気料金の値上げによるインパクトはいくらか?】

コストの内訳をみると、こんなことが分かるという例をあげます。



震災があり、
国内の原子力発電所が停止することになる影響があり、
東京電力が電力を値上げすると言いました。

もんちゃくあった結果、
なんと8.46%上げるんだそうです。

町の工場とか、電力を大量に使って加工する系の産業の人は
「あぁ、やばい・・・倒産するかもしれない・・・」
なんて言ってました。

「家計も大変だ」
なんてことも言ってました。

ヤシマ作戦という運動もありました。

そんな中、前の東京都知事である某石原氏が
「パチンコ屋なんてこんな電力が不足している状況で煌々と明かりつけて・・・」
自粛しろ!と言ってました。


仮に過去3年において電力値上げがあったと仮定した場合のインパクトを見てみます。

電力値上げ

水道光熱費は全額電力料金だったとして、年間のインパクトは4億円程度です。
少なくはないけれど、バッシングされるほどの金額でしょうか?

じゃんじゃんバリバリ、明るかったり、うるさかったりするんでしょうけど、
パーラーやメーカーの省エネ化という努力により、
1店舗あたりの電力消費コストは年間13~14万円程度なんです。
営業利益へのインパクトなんて微々たるものです。



一般的なイメージである「パチンコ屋は電気を大量に使っている」 
というのは、実際はあんまりそうでそうでもない とかがわかると思います。
 

さて、いよいよやっとコストを見て参ります。
ここでも分解、分解、分解がKeyになってきます。


再び連結PLを提示します。
PL外観_5つのコスト 
ミドリの部分がコストになっています。
そしてコストは、上から、
1.ホール運営コスト
2.本社管理費用
3.その他運営コスト
4.借入利息等の金融コスト
5.税金コスト
と分類区分されております。

それぞれの中身について簡単にご説明いたします。



1.ホール運営コスト
約350店舗あるホールのパチンコ台の投資コストや人件費、賃料、水道光熱費等が計上されています。
コストのうちの圧倒的大部分を占めています。
この内訳もIR資料 P227に記載されていました。

コスト1の内訳


割合にしてみたらこんな感じです。
コスト1の比率

内容はだいたいイメージ通りの感じですね。
だいたい人件費が3割ぐらい。まぁ、店舗行くと、結構人いますもんね。
玉を運んだりしてくれるみたいですね。
(僕はパチンコで当たったことがないので、運んでもらったことはありませんが・・・)



気になる項目があります。
パチンコ台投資費用と、G-pirzeコストです。

・パチンコ台へのコスト
パチンコ屋さんの最大のサービスであるパチンコ台投資。
パチンコパーラーの価値は、本当は機種への投資ではなく、
いかに「出る期待」を持たせて、お客さんからお金を「気持ちよく」搾り取るところなんでしょうけど、
お客さんは古いパチンコ台じゃなくて新しい機種を打ちたくなるんですかね。パチンコ台への投資結構しています。

どうせ一括費用処理でしょって思ったら、やっぱり一括費用処理していました。
注記によりますと、平均使用年数が10~11ヶ月なんだそうです(the average useful life of our machines was 0.84 year, 0.82 year and 0.94 year,)。
なので、使用期間に合わせて費用処理しているんだそうです。
ダイナムでは、使用開始に一括費用処理しています(As a result, pachinko and pachislot machine expenses are fully recognised in the income statement at the time of use.)。


簿記3級なんかでは、固定資産なんかの償却は月数按分しましょう。
なんてあります。
確かに期末付近(例えば3月20日)に使用を開始したパチンコ台は、期末日までに稼働が10日しかありません(決算日3月31日)。
費用収益対応からすると、平均使用期間である10~11ヶ月で按分して、10日を掛けなければおかしいことになります。

しかしながら、1店舗に300台とかあるので、こんな処理をしてしまうと煩雑すぎて事務員死んじゃいますし、
毎年同じぐらい台への投資を行っていれば、毎年使用開始に一括処理しても結果的に毎年のコストは同じぐらいになるので、
結果的に一括償却OKにしているんでしょう。

しかし、税務上は1台あたり30万円を超える機種もあるので、ちまちま台帳に載せて償却しなきゃいけないんでしょうね。。。
大変です。


・G-prizeコスト
注記にはこんな文言がありました。
(7) G-prize expenses represent the fixed monthly fees paid to G-prize wholesalers.
G-prizeというのは、現金交換所で現金交換してくれるための商品です。
「パチンコはギャンブルではない」ので、こんな風にG-prize卸売業者に資金を流すっていうのは何なんでしょうか?
しかも年間で45~50億円ぐらい流しています。
外目からみると、かなーりブラックなにおいがしますね。これ。

このG-prize expensesと払戻金額の割合を計算してみました。
だいたい0.6%程度が、G-prizeへの取引コストになっているんですね。
これ以上は謎です。



2.本社管理費用
本社の偉い人たちの給与・・・というものだけでなく、
間接部門の人員(IRとか法務とか人事とか)であり、ホールじゃない人のコストです。

コスト2
内訳をみると、2012年は圧倒的に増加しています。
上場に伴うコストが計上されているのだと思います。
まぁ、金額小さいので、これ以上何もなし。




3.その他運営コスト
あっそみたいなのが並んでいます。
コスト3



5.税金コスト
コスト5
税金は、だいたい利益の40%ぐらいですね。
税率を見るとちょっと超えています。

ここから何が読み取れるのか?っていうのは今後の課題ですが、
「パチンコ屋」っていうと、脱税!みたいなダーティーなイメージが強いと思うんですが、
実際には、ダイナムさんは120億円もの巨額の税金を納めています。
国家に対するみかじめ料みたいなもんなんですね。

繰欠を使いまくって税金なんて払ってない会社がいっぱいいる中で、
ちゃんと納税していて、本当に立派な会社です。




ざっとコストですが、こうやって数値を並べてもやっぱり企業の中身分かりませんし、
全く面白くありません。
コストについても、収益と同様に同様に分解分解分解していく必要があります。


次回は、コストを店舗別に分解して、面白い傾向が見れました。

【分解せよ、分解せよ、分解せよ_その1】
 
データを提示します。
売上をホールタイプ別に区分した場合にはこのようになります。
単位は百万円で、各年度ごとに100分率にしてあります。
セグメント別売上

2012年度を見ると、
「ふつうのダイナム」による売上寄与割合は70%となっております。
「ゆったり館」が25%程度を占め、「信頼の森」が5%となっております。
まだまだ「ふつうのダイナム」の割合が大きいですね。



この上で、
前回のタイプ別/ホールあたり年間売上高の資料から読み取れることを検討してみます。
店舗当たり売上③

【読み取れること_Gross pay-ins】
さて、2012年度のGross pay-insを見ますと、
店舗当たり売上④
 総投入金額は、「ふつうのダイナム」が4,171百万円/店舗であり、
1,000百万円弱/店舗(*1)の「ゆったり館」や「信頼の森」に比べて4倍超の差をつけております。
ミドリのその①の部分です。 

低単価パチンコの定義は、4円以下のものであり、1円や1.5円とか、2円とか、いろいろありました。
1円は超えるものも含まれるので、均すと1円を超えると思われます。
しかし、高単価パチンコよりも総投入額で4倍以上の差が出来るというのは、
低単価パチンコは高単価パチンコよりも人気がない(正確には投資が少ない)ということが分かると思います。
この理由は、1つは単純に「高単価パチンコに比べて低単価パチンコは出ない」ということがメインかと思います。


(*1:フローとストックを加味する)
タイプ別/店舗当たりの「売上高」(総投入額から払い出し額を控除した差し引き)です。
単位は百万円です。
店舗あたり売上⑤
 なお、「信頼の森」のRevenue(差し引きダイナム取り分)は、
10年度97百万円/店舗から11年度216百万円/店舗に2倍以上になっており、異常値となっています。
上の図のオレンジの「その②」となっている個所です。 
これを単純に2倍以上に急成長!と喜んだら大変です。
数字のマジック(でもなんでもありませんが・・・ごく稀にこういう間違いをしている記事を見つけたりします。)があるからです。

ずばり、割るもとの数値(売上高)は1年間のフロー数値であるにも関わらず、割る数のホール数は年度末時点のストック数値であるためです。
これを加味しないと、増加したホールは、あたかも年初から稼働しているという計算になってしまいます。

具体的には、「信頼の森」が10年度末時点で、既存店舗が25店舗あります。
店舗当たり売上⑥
この状況で、11年度に新規店舗を仮に10月に集中的に17店舗出店した場合、11年度末時点では42店舗となります。
これらの新規17店舗が売上に寄与した期間は10月~12月の3ヶ月分しかありません(会計期間を1月~12月としています)
ですので、11年度の平均店舗数は、25店舗+17店舗÷12ヶ月×3ヶ月の21.3店舗となります。
売上はフロー数値なので、フローの平均化した数値を用いる必要があります。

「信頼の森」は10-11年にかけて、店舗数が急激に増加しているため、おかしな数値となっています。
しかし、11-12年にかけては、店舗数の増加は「ゆったり館」で3店舗(3%弱)、「信頼の森」で2店舗(5%弱)と、
そんなに大きな影響を及ぼしていないので、
店舗あたりの総投入金額を1,000万円弱という結論にしています。








【読み取れること②_Revenue】
全社売上の7割りを占める「ふつうのダイナム」ですが、
店舗あたり売上高が徐々に減少していっています。
 
店舗当たり売上⑦
10年:692百万円/店舗
11年:672百万円/店舗
12年:630百万円/店舗
このことから、近年の売上高の減少は、
単純に低単価パチンコを積極的に押し進めているため、店舗当たりの売上単価が減少している
ということよりもむしろ、
7割を占める主流の「ふつうのダイナム」の売上も同時に減少している
ということがわかると思います。
11-12年にかけてのGross pay-insは、減少どころかむしろ増加しているので、
近隣の競合との戦いが激しくなっている(「玉」を出さなきゃならない状況が厳しくなっている)ということかと思います。



【まとめ】
・低単価パチンコ店の収益性は?どうなんだ?を考える
・「ふつうのダイナム」の売上高の減少は今後も続くトレンドなのか?を考える



やっと次回はPLコスト分析に入ってみます。

【パチンコ屋に強盗に入ったらいくら手に入るか?】


前回はホールを3つに区分してみることが必要とご説明いたしました。
「ふつうのダイナム」の売上高は1,109億円(2012年)、「ゆったり館」の売上高は429億円(2012年)です。


・・・と言ってイメージ出来るでしょうか?
わかる人はそれでいいんですが、
やっぱりちょっと分かりずらいですよ。


「数字」のイメージをつかむため、
ホールの売上をイメージできる単位に分解してみます。


タイプ別/ホール当たりの金額に分解しました。
店舗当たり売上①


例えば、2012年度を見てみます。オレンジの部分です。
「ふつうのダイナム」は、
1店舗あたり年間41.7億円の現金が投入され、35.4億円の払い戻しを行い、6.3億円を売上ます。
凄いですね。


これをさらに365日で按分し、1日当たりに修正してみます。
店舗当たり売上②

「ふつうのダイナム」は、
1店舗あたり1日11.4百万円の現金が投入され、9.7百万円の払い戻しを行い、1.7百万円を売上ます。
こんな風に、大きな数値から小さな理解可能な数値にすると、分かりやすくなると思います。





さて、今回のメインテーマであります、
「パーラーに強盗に入ったらいくら手に入るか?」ということを検討してみます。
それはズバリ、一日のGross pay-insです。(たぶん・・・)

現金回りの内部統制では、
「従業員の流用や盗難等の恐れがあるため、手元現金は少なく抑える」ということが教科書に載っています。
ここら辺、パーラーとか現金交換所は狙われやすい気がするので、しっかり重点的に管理しているはずです(間違いなく)。

手元現金を抑えるということは、
当日の売上金は、人がいない夜間は、店舗には保管せずに銀行に預け入れるということをしているはずです。
まさかまさか、1週間分とか、売上金が溜まってから銀行に預け入れをするなんてことはしないはずです。

「ふつうのダイナム」ですと、平均11.4百万円/日ですから、
一日の売上が終了した後に、これを預け入れるオペレーションになっているのでは?と推察します。
また、「ゆったり館」と「信頼の森」もダイナムと同じ社内管理マニュアルで運用しているので、
Gross pay-insが平均3百万円/日と少なくとも、同じく日の都度、銀行預け入れをしていると思います。

なお、「ダイナム12 パチンコはギャンブルではない・・・」でご説明申し上げましたが、
パチンコ店は直接には現金の払い戻しができないので、1日終了後にお店に残っているお金は、Gross pay-insです。
売上高(差し引きダイナムの取り分)ではありません。

また、曜日による変動と、平均(人気店と不人気店)による変動があるので、
強盗に行っても、11.4百万円がある保障はありません。
そしてくれぐれも「ゆったり館」や「信頼の森」はターゲットにしないでください。入っても3百万弱では苦労の割に見合いません。

しかし、どうでしょう?
このように分解してみると、強盗に入った時にも割りに合うかどうか?を計算できるようになるのではないでしょうか?
強盗には共犯が必要です。
1人ではきっと無理でしょうから、2人で割ると5百万円、3人で割ると3百万円ぽっちで人生を棒にふりますか?


せっかくですから、安易な強盗はせず、
しっかりと財務諸表をみて、内部統制の観点からも計画をしっかり練って強盗に入る方が良いと思います。

【ダイナム系列でパチンコするときに避けるべきブランド】
IFRS上、ギャンブラーの総投入投資金額から、払い出し金額を除いた金額を売上高としています。
こちらも3つのタイプ別にあったので比較してみることにします。
すると、驚くことが分かりました。
 
タイプ別売上高

何回前か忘れましたが、総投資額は、払い出しレートと、ダイナムの取り分に分かれると申し上げました。
ダイナムの取り分から、電気代だったり、人件費だったり、賃料だったり、パチンコの台の費用を捻出します。
なのでギャンブラーは、トータルで行くと、負け続けることになります。
ダイナムグループ全体での払い出しレートは、80%であり、ダイナムの取り分は約20%です。

しかしこれをブランド別に見て行くと、面白いことがわかります。
「ふつうのダイナム」は、ダイナムの取り分が15~16%なので、ギャンブラーに戻ってくるお金は84~85%ということになります。
「信頼の森」は、ダイナムの取り分が27~30%なので、ギャンブラーに戻ってくるお金は70%~73%ということになります。
「信頼の森」でパチンコを打つと、「ふつうのダイナム」よりも1.2倍負けるということを意味しています(84÷70)。
さらにさらに・・・
「ゆったり館」では、ダイナムの取り分が32~43%となっているので、ギャンブラーに戻ってくるお金は、57~68%ということになります。
「ゆったり館」でゆったりパチンコを打つと、「ふつうのダイナム」よりも1.3~1.5倍負けるということを意味しています。

儲けたいギャンブラーは、低価格パチンコは避けて、「ふつうのダイナム」で投資するべきです。
しかし、万が一低単価パチンコで勝負したい人は、
「ゆったり館」は外して下さい。
どうせやるなら、「信頼の森」です。


低価格パチンコでは、戻ってくる率を少なく抑えているということになりますが、
こちらはお客さんの消費時間と、台への投資金額の関係、
SOI(Sales on Investment)の関係上、やむを得ないことです。
次回以降のPLコストの時にでもご説明いたします。

さしあたり次回は、各ブランドタイプ別の利益の状況/コストについて検討して参ります。

売上を分解する前提条件をご提示します。
IR資料によると、ダイナムは3つの形態の店舗を運営しているそうです。
・ダイナム(Traditional) 
・ゆったり館(Yuttari kan)
・信頼の森(shinrai no mori)
というものだそうです。


ローソンにも、「普通のローソン」、「ナチュラルローソン」「100円ショップローソン」
モスバーガーにも、普通の「モスバーガー」、フレッシュさを売りにした高級路線の「グリーンモス」や、
ユニクロが「ユニクロ」に加えて低価格路線の「G.U.」を出したように、、、
洋服のブランドが価格帯によって、ブランドを変更しているように、
ダイナムも目的に合わせて店舗形態を変更しているそうです。



ダイナムの3つのタイプは、このようになっています。

3種類のパーラー
ふつうのダイナム:高単価、たばこOK
ゆったり館:主に低単価、だいたいたばこOK
信頼の森:主に低単価、たばこ分煙
となっています。


3つの種類別の店舗のパチンコの設置台数と比率はこのようになっております。
パチンコ価格帯別
高単価パチンコ:4円パチンコ
低単価パチンコ:4円以下(0.5円/1円/1.25円/2円/2.5円)
となっております。

「ふつうのダイナム(Traditional)」は、97.7%が高単価パチンコとほぼ全てが高単価であるのに対して、
「ゆったり館」と「信頼の森」は、100%が低単価パチンコとなっております。
3つの種類はこんな風に区分がされているんですね。
さらに「ゆったり館」と「信頼の森」は、たばこがOKかどうかみたいなソフト面での違いとなっているみたいです。


参考までにパチスロも記載します。
パチスロ価格帯

高価格パチスロ:20円パチスロ
低価格パチスロ:10円以下(5円/6.25円/10円)
こちらも3つの種類については変わらず
「普通のダイナム」が高単価、それ以外の2つは低単価
となっております。






【ブランドタイプ別のホール数推移】 
さて、では、ホール数をタイプ別の店舗数に分解してみます。
タイプ別店舗数推移
ホール数からすると、全体としては、2010年331ホールから2012年に355ホールへと増えています。
10年から12年にかけて、ふつうのダイナム(Traditional)は全く増えていません。
一方、同年度の間、「信頼の森」は19店舗、「ゆったり館」は5店舗増加しております。
つまり、ホール数の増加要因は、低単価形態の2タイプの増加によるものだと分かります。

恐らくですが、、、
この段階で、店舗数が増加しているにも関わらず、連結PLの売上が減少している理由が分かりました。
低単価パチンコ店を積極展開することを押し進めているということでしょう。
じゃあ、次に、この低単価パチンコと高単価パチンコのそれぞれのPLについて分解して見て行くこととします。


つづく

売上を見る上では単純に指標をみるのではなく、
それが「なぜそうなっているのか?」に着目して、
実際のビジネスをイメージして、売上という要因をいろいろな角度から細分化することが必要になります。

ダイナムの場合はパチンコパーラーという店舗を販売チャネルとして、BtoCで販売するビジネスですので、
この売上の先には店舗があるはずです。


売上が増減するというのは、
・店舗数(数量)の増減
・店舗あたりの単価の増減
分解できます。

さらに店舗あたりの単価は、
・お客さん数量の増減
・お客さん単価の増減(1回に投資してくれる金額)
というようにどんどん分解していけるはずです。

そして、お客さんの数量は、
マクロ的な視点と
・市場そのものの拡大や縮小(課題となっている若年層の開拓やパチンコAKB48/エヴァ機種の開発)
・消費者金融など資金供給源の動向
・FXやモバゲーなどの他の娯楽市場との競合とか、
市場の中での戦術
・近隣競合店舗と比較して「出る期待」が大きいという期待感の増減
・競合店舗の出現
・「7の付く日は・・・」なんかの期待感の増減
などの定量的要素と定性的要素にどんどん分解できますでしょう。


最初は、大枠からとらえて、
次に、その要因をどんどこ細分化して行きます。
くどいようですが、よくスコアリング方式の財務分析でやりがちなんですが(の気がします)、
「売上が増加しました。良い兆候です。」
「売上が減少しました。悪い兆候です。」
というのは、違うんですね。
単純にそういうわけではなく、このような店舗型であれば、
設備投資にお金をかけて店舗数をどんどこ増加させれば売上は増加します。
・・・が、あんまりにも安易な出店をすると、数年後に不採算店舗の閉店を余儀なくされ、多額の損失が発生してしまいます。
BSが痛んだり、見えない負債(従業員の士気とかBSには出てこない負債)が計上されることとなります。
この時に、大事なのは、やっぱり、その数字の羅列の先にあるものを想像するということだと思います。
売上の先には、頑張って開発してヒットした商品があったり、失敗があったり、一生懸命考えた戦略があったりするんですね。
それを見て行くと面白いです。


さてPL数値に戻ります。
連結PL推移2

売上高の前年比増減率は、10-11年では+2.5%増加していますが、11-12年では▲2.7%減少しています。
一方、店舗数自体は10-11年で+5.7%、11-12年で+1.4%と増加させています。
このため、近年ではホール数は増加させているものの、ホール当たり単価が減少しているため売上全体が減少しているということがつかめます。
じゃあ、次に、
・なんでホール当たり単価が減少しているのだろうか?
・この出店のペースはどうなの?
・これから先はどうなっちゃうの?
ということが気になります。

ちょっと横道にそれましたが、
今回から、本丸の損益の内訳に関する分析を実施することにします。


こちらが全社PLの外観図です。
濃いブルーが連結売上高
薄いブルーが営業利益
黄色が純利益 となっております。
単位は百万円です。
PL概要
数値としてはこのようになっております。
グラフと色を対応させています。
連結PL推移_data

売上全体としては、驚愕の1,650億円(2012年)もあります。
10年の21.6%と比較すると減少したとは言っても、12年の営業利益率は18.3%もある会社という凄い会社です。
純利益率がだいたい営業利益率の半分なので、税金で半分持って行かれているという感じです。
やっぱ儲かる会社は儲かるんすね~って感じっすね。
実店舗を持ちつつ、営業利益率が20%弱もあるというのは高い収益性です。
実店舗を持っているといえば、
チャリンコ屋の「あさひ」も売上高355億円で、営業利益率12.5%(2012年)を大きく上回る凄さです。


どれぐらい凄いのか?というと・・・
08年の売上高営業利益率ランキング(業種別)※金融機関は除く というものがありました。
上場企業の営業利益率を集計したものだそうです。
営業利益率ランキング08


こちらを見ると、医薬品セクターを上回る高収益企業です。

データを簡単に引っ張ってくるというスキルがないため、ネットで探したOICという会社のデータを持ってきました。

比較するデータとして適切か?というのはあります。
08年のランキングなのでリーマンショックとかありーのでいろいろと変化があったり古かったりするのですが、
こんなものしか(失礼・・・)出せませんでした。

業種によって、売上規模と利益率の関係があるので、
本来であれば、セクター別に
売上高と営業利益率の相関図か、これに総資産規模を含めたバブルチャートなんかを作成できたら、
もっと一目で実態が分かるんでしょうけど・・・
上場企業の売上高ランキングと営業利益率ランキングの調べ方を教えて下さったら幸いです。

実際に12年度にはネット企業の中でも営業利益率40%を超える高収益率を上げている会社だったりが、
ごろごろいたりしますが、
ともかく、、、
「実際店舗を設けて、1,650億円もの売上を上げつつ、営業利益率20%弱」という
高収益企業はあんまりないんじゃない?ってことを主張したかったわけです。

BS概要

棚卸資産 45億円あります(2012年度)。
この内訳ちょっと面白いので紹介します。




この棚卸資産(Inventories)の内訳、注記に記載がございます。
4

G-prizeというのは、ダイナムの隣にある「現金交換所」で現金と交換することができる景品です。
General prizeというのが、現金と交換するもの以外の景品です。たばことかお菓子とかです。
Suppliesというのは、これら景品の類以外の店内在庫だったり。おしぼりだったり、チラシだったりします。
面白いというのは、「現金交換景品」と「現金以外の景品」の割合です。




5

景品として保有している在庫のうち、G-prizeは3年平均で72%にも上ります。

この数値から何が推測できるか?というと、
「当たり」が出た場合の交換手法を推測できると考えております。

この数値比率だけでいうと、G-prize(=現金への交換)交換する人は72%で、
商品への交換をする人が28%になるということですが、ここに在庫回転率を加味すると、
実際にはG-prize(=現金への交換)交換する人の割合はもっと多くなるはずです。

G-prizeは商品がそれ1つだけであるのに対し、
G-prize以外の商品は、いろいろあるんですね。たばこもあれば、飴もあれば、洗剤だってあります。
商品点数が多いと、それだけ回転数は落ちるし、補給は大変だってことで、数も絞る。




なので、この補正を加味すると、
パチンカーは約8割ぐらいが現金に換金して、2割ぐらいはその他の景品に交換する。
ってどうでしょうか?

「パチンコ」を含むアミューズメントビジネスは、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」という法律による影響を受けます。
(英語にすると、Amusement Business Lawというシンプルな言葉になるそうです。)
そして、驚くべきことになんとこの法律は、パチンコの玉と「お金」との交換を禁止しているんだそうです!!
1



いやいや、実際換金してるじゃないっすかー!
って思うんですけど、
「パチンコホール」とその隣にある「現金交換所」は、何の関係もないという「こと」になっているんだそうです。
パチンコホールが直接現金交換をすることは法律で禁止されています。


2

23項に記載がございますように、ほんとダメなんです。換金するの。
でもね・・・と、「G-prize」というものを介して、パチンコホールから迂回してその業者間を結びつけてしまえばいいんです!

どういうことかと申しますと・・・



3

Step1:お客さんが「玉」を「G-prize」という「モノ」に交換する。
Step2:お客さんがこの「モノ」を持って、パーラーの近所(だいたい隣にある)の「G-prize」を「お金」で買い取ってくれる専用の商人(交換所)のところに売りに行く
Step3:お客さんは「G-prize」という「モノ」「お金」に交換する。
Step4:景品交換所は、卸業者に「G-prize」を持ち込み市場価格で販売、現金化する。
Step5:パチンコホールが「お金」で卸業者から「G-prize」というを「モノ」購入する
をぐるぐると繰り返します。


ホールと交換所との間には何も関係がないそうです(ほんと、資本関係とかも支配関係とかもありません。)。
「たまたま」、ホールの近くに、特殊な景品だけを交換してくれる一風変わったお店があって、
「たまたま」、ユーザーはその存在を知っている。
ホールの主張は、「あとはお客さんが交換所とやってる取引です。私は知りません。えっ?!お金に交換しているんですか?知りませんでした!!」
という優等生小学生のような理屈をこねています。
パチンコやってる人は知ってるみたいですけど、やってない人はこんな風になってるなんて知らないっすよ。




この偶然を装うアリバイ工作のために、涙ぐましい努力をされています。

なお、この偶然を装うための要件としては、
must be satisfied: 
(1) neither party may have the ability to exercise control, whether directly or indirectly, over the other, through
(i) any relationship or connection between the personnel of the prize buyer and pachinko hall; 
(ii) any equity holding or any other capital relationship or connection between the prize buyer and pachinko hall; or 
(iii) any contract or other agreement between the prize buyer and pachinko halls; 
(2) G-prizes to be purchased are of market value; and
(3) G-prizes are not directly returned from the prize buyer to the pachinko hall.
1)支配の要件
・人的関係がないこと
・資本関係がないこと
・契約関係がないこと
2)価格の要件(G-prizeは市場価格で取引をすること)
3)戻り処理の要件(G-prizeを交換所からホールへ戻し処理しないこと)
とかあーだこーだ必要みたいですが、
(正確な訳は、このIR資料のP125~P128をご覧ください。)

しかも・・・!!
独立の第三者による調査(ヂューデリ)も実施しているそうです。
実施した手続きも記載しています。



この屁理屈、大変な労力の上に成り立っているんですね。
頑張れ!景品交換所!!

【数値の検討】
今まで話がいろいろと逸れてしまいましたが、
今回はやっと「普通の」財務分析をしていきます。




【財務3表の外観】
さてさて、さっそく、BSから見て行きますか・・・
ふむふむ「BSの内容を見て行きますか・・・一番上が有形固定資産95,033百万円ですか・・・」
と・・・


いえいえ待ってください!



財務分析のポイントは、いきなり詳細に入らず、
まずはざっくりと外観を把握することです。
BS/PL/CF,その他のもろもろの指標をみて、イメージを膨らまします。
いきなりBS/PLの内訳明細や注記など細かいところに入ると、かえって時間がかかってしまいます。


大きくとらえて、疑問点を持っておく、その後、その疑問点を解くようにIR資料を読む
というのが、急がば回れの鉄則!だと思います。



会社の概要を把握するのに一番最適なツールがあります。
シェアーズといいます。
山口陽平さんという天才が作り出した、
その会社の財務情報が瞬時に図で分かってしまうという凄い凄いすごーいサービスです。

サンプルに消費者金融3社のリンクを記載致します。
どうでしょうか?凄くないですか?ほんと・・・

今現在は新規会員の募集を休止しているみたいなのが残念です。
シェアーズ会員に登録すると、一瞬で概要がつかめますグラフが見れます。
他にも検索の方法はいろいろありますが、開示ネットよりも便利です。

著作権違反になること、及び、残念ながら海外銘柄対応はしていないようですので、
おんなじような概要をつかめる図を入れます。








【BS概要】
あんまり初心者初心者していると、馬鹿にしてるのかって思うかもしれませんが、
BSは「過去時点スナップショット」という役割を持っています。

ざっと見で、バランスシートを見る上でのポイントは、
・大きいところから見る
・過去の推移から著増減が生じている項目を見る
・反対側(借方だったら貸方、貸方だったら借方)を見る(バランスを見る)
ということです。

IR資料_Appendix I-5~作成(単位:百万円)
BS概要
ざっくりベースでは、
・有形固定資産が総資産の6割程度を占めるものの、その裏付けとなる資金調達面は自己資本の割合が大きい。
・余剰資金(現金預金+投資その他の資産)も大きい。
・10年から12年にかけては有利子負債の返済を行い財務健全性がUPしているんだな
ってことをイメージできます。
一言でいうと、財務の健全性いいね!です。
流動比率が・・・うんぬんと指標を使ってスコアリングするよりもシンプルで良いと思います。



【PL概要】
PLを初めにみるポイントは、
・売上と利益の推移を見る(出来れば3年ではなく10年などの長期推移)
・率の推移
を簡単に見て、過去のトレンドや著増減のある年度の有無を把握します
また、同時に営んでいる事業の内容についても軽くチェックします。
著しく売上が増加したり減少したりしている年度や、
利益が増減している年度には、
別事業の買収による売上増加やコスト構造が大きく変わるような変動が発生していることが多いです。
このように年度を特定してから、その年度の財務諸表を読みに行くことで
会社を把握する時間を大幅に短縮することができます
PL概要

・売上規模(深いブルー)はそんなに増加していないので、店舗はそんなに増加してないのかな?
・売上に関しては著増減はないから安定している環境なのかな?
・同時に利益水準もそんなに大きく変化はしてないので、安定したビジネス環境なのかな?
・営業利益率は驚異の15.9%(2012年)?! 
ぐらいのイメージをつかんでおきます
著しい変動はない=気になるピックアップ年代はないですね。
各年度の売上分解とかコスト構造分解とかを普通にやって行きましょう。


【セグメント】
PLと合わせてセグメントも見るべし!
というのがおススメですが、残念ながらダイナムさんはほぼほぼパーラー事業だけをやってるので、
開示されていません。
ですので、今回はセグメントはスルーします。






【CF概要】
CFはPL,BSのおまけではありません。
企業の将来性や利益の質を見る上で、
BSやPLよりもCFを読み取れるようになることが大事だと感じています。
CF概要

詳細な見方は、別の機会にご紹介させて頂きます。
・営業CF
営業利益に近い営業CFを上げており、利益の質は良いと感じます。
(純利益に減価償却費を加えた数値に近いイメージがあることも「利益の質の良さ」を意味していると思います。)
・投資CF
10年11年は投資しています。
投資CFは事業投資と金融投資の2つがあるのですが、この時点では分かりません。
ぱっとBSを見ると投資その他の資産があんまり変動していないので、きっと事業投資なんだろうなぁ~
営業CFの範囲内で投資CFに回しているので、無理していない堅実なイメージがあります。
・財務CF
BSの有利子負債を圧縮しているので、借金の返済に回しているのかなぁ~
程度に考えておきます。
財務論の観点からは、借入の返済は一概にプラスだけとも限りません。
いろんなバランスがありますからね。




【まとめ】
一言でいうと、
財務健全性◎
売上成長性は乏しいものの、この市場の中では健闘している方かな?
利益率は凄い!
営業CFと投資CFのバランス○
という、いいね!な感じだと思います。



さて、ざっくりと会社の概要を見たところで、
次回以降はBS/PL/CFの詳細な中身を見て参ります。

【判例と収益性悪化のタイムラグについて】
あれ?グレーゾーン金利返還の判例が適用されたのが04年5月で貸出金の増減とかありそうなのに・・・
消費者金融5
なんで各社の営業利益率はそんなに悪くなってないの?と疑問が発生します。
バンバン請求かかってきそうなのに・・・

これはどうやら、
元&現債権者が04年から一斉に請求をかけた、、、というのではなく、
「返還請求をすると、情報登録されて二度とおカネを借りられなくなる」という懸念/噂(恐らく事実)があったため、
最初はあんまり返還請求はしなかった(できなかった)。
というのが真相のようです。

しかし、それでも徐々に返還請求はされていきました。
返還請求専門の司法書士事務所とか、弁護士事務所が作られていましたよね・・・
それがムーブメントとなって、雪崩を打ったかのように返還請求をしまくって行くようになりました。

「もう間に合わないかもしれません・・・」という怖いCMが流れた時、
あのCM流れるたびに「もう間に合わなくしてる本人はあんただろ!」って突っ込んでました。
もう間に合わないかも・・・という行間には
「早く請求しないと、消費者金融が倒産してしまうので急いでね」という意味が含まれています。





【そして今・・・】
その後、この3つのプレーヤーは、
リストラしたり、私的整理したり、上場廃止したり・・・の上、
銀行の傘下に入ったりしました。

 
消費者金融13
1つの時代が終わりました。
オレンジの部分は、清算する際に発生した各種の損失です。
銀行の傘下に入ったっていうのは納得ですけどね。
消費者金融は2%で資金調達をしていました。
それを20%ぐらいで貸し付けていた。
・・・けれども、銀行はもっと低コストで資金調達ができるんです。





【パチンコと消費者金融と自己破産の関係】
話はだいぶ逸れましたが、
消費者金融とギャンブル市場の関係を1つのグラフにぶちこんでみます。
消費者金融14
ギャンブル市場の98年から02年までのデータがないのが、とっても悔やまれますが・・・
(そしてそれなきゃ論拠にならないだろ・・・という気持ちも分からなくもないですが・・・)
資金の供給が細り、そして市場がなくなった。
ということがわかると思います。
消費者金融15




【まとめ】
カード破産,消費者金融破産等の自己破産の増加(03年がピーク)
⇒最高裁判例(04年5月)消費者金融に対してブレーキをかけるという政治的な判断
⇒心理的抑圧により過払い請求は進まないが、ある時、臨界点を突破
⇒引当金を計上するように会計士協会が通達、各社数千億規模の引当金を計上
⇒新規の貸し出しをいっせいにストップ、貸出が急減
⇒消費者金融からの資金供給がストップ
⇒ぱちんこホール売上減少
というドミノ倒しにより減少しました。

この他、
国民所得も減少や
パチンコに替わって、FXなどのギャンブル(投資)やモバゲーとかの娯楽にお金が流れている
ということもあるかと思います。。。






【今後の成長性について】
市場の成長性をみる上では、
どこから資金流入してくるのか?という視点を持つということは結構大事になってくるでしょう。

このパチンコ業界の市場規模を見る上で大事になってくるのは、
プレーヤーの平均年齢です。
IR資料で書いてあったんですが、プレーヤーの高齢化が進んでいるそうです。

業界全体として、これからどうなるのか?
を考える上では検討が必要な要素になるでしょう。

【売上を超える損失を作った引当金】

06年10月 会計士協会が
「消費者金融会社等の利息返還請求による損失に係る引当金の計上に関する監査上の取扱い」
というものを出しました。


04年の判例が出た以上、過去に返済が完了した債権者が返還請求させろ!と言ってきた場合、
それが時効になっていなければ、返還に応じる必要があります。
最初は少しづつ、、、
しかし、その後はバンバンと返還請求が届いてきました。
ばんばんばんばんばんばんばんばん、返還請求が来ることになりました。


会計の世界では、将来支出する費用の発生確率がある程度確実となった場合には、
実際の請求が来てキャッシュアウトする前に、その損失分を見積もる必要があるというルールになっています。
これを引当金といいます。
「その発生の原因が当期以前に起因し、将来の費用又は損失について、その発生の可能性が高く、その金額を合理的に見積もることができる場合に当期の費用として処理する際の負債項目」
というのが定義です。


引当金を一言で簡単に言うと
「将来の損失を保守的に前倒しで計上する」ということです。
「これは、想定の範囲内です(キリッ!)」と数値面で表明するという意味を持っています。
分かりやすい詳細についてはこちらを参照してください・・・http://bijin-boki.com/


やっかいなのは、
「その発生の可能性が高く」
その金額を合理的に見積もることができる場合
という点です。
返還請求引当金は、
(返済完了債権+これから返済を受ける債権)×過去に請求を掛けてきた実績率×(昔の利率-限度額の利率)
で求めるのでしょう。



上記の基準は、06年9月1日以降に終了する事業年度より適用を開始
3月決算の会社であれば、
06年9月末中間決算(当時まだありました。)
07年3月末期末決算
にインパクトがあります。
 
04年,05年,06年3月期には、何事もなかったかのように処理されています。
発生可能性をどうやって''合理的''に見積もるのか・・・ということについて
きっと、水面下では監査法人と会社側でこんなやり取りがあったんだと想像します。



最初の段階(04年~05年9月末中間)では、消費者金融会社の人
「あ、この返還請求、アホがいるんですよ。たまーに来るんです。
例外的なので、あんまりこっちもやってらんないんですけどね~」なんてあーだこーだ言いながら、、、
しっかりと監査法人にもくぎを刺します。
「でもね、返還請求してくるのは全体で言ったらごくごく少数なんです」
「何%が返還請求してくるかなんてわからないですよ!」
「金額を合理的に見積もれないんですよ!」
そんなことやったら、会計数値をゆがめることになりますよ!と。
注記対応して、財務数値には表わさないようにしましょう。と落ち着いたことでしょう。



そして、次の段階は、
「業界横並びしていて、うちだけなんで計上するんだ!」
「監査法人変えてもいいんですよ!うちは!」
なんて戦いもあったかもしれません。


しかし、徐々に確実に返還請求が増えてきました。
会計士協会もいよいよ動き出します。
「実態が分かりました。それを会計数値に表現しましょう」
「業界一斉に横並びで引当金を計上しましょう!」


こんなやり取りの後に、引当金の計上は決まったのでしょう。




ちなみに・・・ 
アコムとアイフルの各年度3月末日時点の調整後株価推移です。
(本来なら時価総額で書いたり、プロミスのSMBCとの統合前についても入れるべきですが・・・めんどくさかった。)
消費者金融12
本当は潜在的に引当金を計上するべきであった状況下の05年,06年にも株価はこれだけ維持しています。
引当金に計上するべきか否かというのはかなり大事な要素になってくるんですね。

【新世界のレース】

ルール変更後の世界、
まずは業界1位を走り続けていたアコム君からです。


(アコム君)
 消費者金融8
04年5月の「グレーゾーン金利」の影響を考えたのでしょう。
トップを独走していたアコム君(グリーン)は04年3月期以降、債権残高を減少させています。
03年にピークの1.8兆円を境に、貸出減少に転じています。
その後、ずんどこずんどこ減少して、12年3月期には0.8兆円まで半分以下にまで減少しています。
それでも0.8兆円とは、トンでもない額ですが・・・
数々の判決がある・・・もう、このゲームは凄いことになると・・・だったら早いところゲームから降りておこうと。





(プロミス君)
消費者金融9
ブルーに着目です。
とにかく不利な判例が出続ける中、迷っている感じですね。
どうなんだろうと・・・様子見をしている状況です。
08年は三洋信販を買収し、一時的に債権残高が増加し、1.7兆円に達するものの、
その後は急減少に転じ12年には0.7兆円にまで減少させています。





(アイフル君)
消費者金融10
アイフル君、強気です。
こんな判例、モノともしません。
向かい傷を恐れるな!とばかりに、アコム君、プロミス君の顧客を食いまくっています。
こんな凄い判例が出続けている中でも、どんどこ債権残高を伸ばします。
しかし、06年4月に業務停止命令を食らいます。
そして、この急激な拡大があだとなったのか、09年9月にADR私的整理(倒産処理)をしました。





今度は、この消費者金融の再び財務面から見てみます。

【巨額損失の計上】
消費者金融11
03年から05年、この世の春を謳歌し、栄華を誇った消費者金融、、、
司法界、マスコミ、債務者たちの総攻撃により返還請求は進んでいきます。

05年には営業利益率30%前後あったものの、06年には各社とも収益性をずどーんと20%~30%ぐらいに落としています。
これを見ると、各社とも返還請求による影響が大きくなっていることがわかります。




それよりも大きなインパクトがあったのは、07年の巨額の損失
07年ってなんでこんなことになっているの?って目がつきます。。。
各社の巨額の損失の正体は、引当金というものでした。

業界最大手のアコム(8572)は07年3月期決算において
売上高4,236億円なのに・・・
4,900億円
の利息返還損失引当金という損失を計上しています。
売上を超える引当金・・・





次回、引当金というマジックに迫ります。

【業界に多大な影響を与えた判決】


またまたさらに話は逸れます。
自己破産の件数推移はこんな風になっているそうです。
消費者金融6

不景気、大変だったんでしょう。
95年頃からどんどこ右肩上がりに増加して、03年にピークに達しています。その数なんと、242千件にも上ります。
26年間で2,457千件というと、日本人口の2%超に上るので、自己破産ってそんなに珍しいものではない!ということになります。
いえいえ、、、でも、この伸び率は異常ですよ・・・


皆様、ご存じのとおり、借金を苦に大変なことになっちゃった人がたくさーんいました。
もはや消費者金融やカードローン破産は社会問題となってしまったので、
司法的な判断をしました。


(04年5月の最高裁判例)
東京高等裁判所判決平成16年5月26日判決(出典:判例タイムズ1153号275頁) 
「当裁判所も,本件保証委託契約については,消費者契約法が適用され,同契約中遅延損害金についての定めのうち,同法9条2号所定 の14.6パーセントを超える部分は無効であるから,控訴人の本件 請求は,被控訴人に対し,求償金元金191万9515円及びこれに対する平成15年9月25日から支払済みまで年14.6パーセント (年365日の日割計算)の割合による約定遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余の請求は,理由がないものと判断する。」

文章が難しいのですが、これがグレーゾーン金利をなくした判決らしいです。
14.6%を超えた分は、返せって直接書いてあるようには思えないんですが、、、
「貰う理由がない」
⇒「理由がないのに貰っちゃ不当利得だ」
⇒「不当利得返還請求」
⇒「返還請求」
凄い言いがかりにも聞こえます・・・


これ以降も借り手に有利な判決、、、
すなわち、消費者金融側に不利な判決が続きます。
<主な「過払い金」判例>
05年7月 貸金業者に取引履歴の開示を義務付け
06年1月 「期限の利益喪失」条項を認めない(えっ?!)
07年6月 発生した過払い金は、その後の借入金の返済に充当することが相当
07年7月 過払い金の返還には、年利5%の金利を付けること(えぇぇぇ?!)
07年7月 過払い金を受け取った業者は「悪意の受益者」と推定される
07年8月 返還される過払い金には、慰謝料や弁護士費用も含まれる。
怒涛の集中砲火です。





消費者金融7

これで04年以降は自己破産が減少になりました。
めでたしめでたし・・・???


この04年5月以降に業界に激震を与えた判決の後の消費者金融チキンレースを見て行きます。
業界のルールが変わりました。

【消費者金融 チキンレース】
1つのデータを提示します。
消費者金融大手3社(アコム/プロミス/アイフル)のIR情報から入手した、過去15年間の融資実行残高の推移です。
各年度末に各社が「今、いくら貸してますよ」というデータです。
消費者金融1

出典:各社IRデータ






ちょっと面白いのは、これ、チキンレースの様相を呈しているところなんです。

(アコム君)
消費者金融2
 
98年から見ると、アコム君、5年間トップを独走しております。
業界で初めて「無人機」というものを発明したのもアコム君なんだそうです。
しかし、社長は「業界発展のために特許は取らない」という美談(?)が残されているそうです。
アコムの貸出残高は、98年から02年にかけては他2社と同様に増加の一途を辿っております。
この5年間の年平均成長率は12.1%です。





(プロミス君)
消費者金融3
今は、SMBCコンシューマーファイナンスっていいます。
2番手からスタートしたプロミス君。1位のアコム君の後塵を拝しております。
98年からアコム/アイフルとともに強烈な伸び率で貸出残高を積み伸ばしております。
この5年間の年平均成長率は15.5%です。
01年、3番手にいたアイフル君が、後方から早い足で追いあげて参りました。その差2馬身から3馬身か。
01年はなんとか鼻の差でかわすも、02年には抜かれしまいます。
その後は、残高をキープしているため、アイフル君にはどんどん離されてしまいます。
万年2位のプロミス君、悔しい、悔しい、、、
2位じゃダメなんですか?ダメなんです!1位になってみたいんです。
08年、三洋信販㈱という会社をTOBで買収!
取りたかった!念願の1位を取ってみた。債権残高1.7兆円!





(アイフル君)
消費者金融4
98年は3番手からスタートしたアイフル君
どんどこ掛け金を釣り上げて参ります。
他2社が貸出残高を減少させたり、迷ったりしている中でもばく進を続け、怒涛の快進撃!
そして、04年には念願の業界1位の座を取得!やっぱり彼も1位になってみたかった。。。
まさに一点の迷いもなく06年には前人未到の貸付金額2.2兆円に達する!





グラフって面白いですよね。息遣いが聞こえてくるような、、、
会社でノルマ達成のために頑張っている人がいるんでしょう。
「1位だ!1位を目指せ!」みたいな声が聞こえてきます。






【消費者金融 PL推移】
財務面からちょっと見てみます。
消費者金融5
見てください、この状況!!
03年から05年には、軒並み4,000億を軽く超える売り上げを上げ、
アイフルに至っては5,000億を超える売上にまで達しています。
しかも、営業利益率20%,30%は当たり前(しかもこの売上規模だからすさまじい)!
純利益が営業利益のだいたい半分ってことは、そんなに特別損益がなく、税金でしょう。
凄いんです。おいしいんです。
2%程度で銀行とかから借り入れ、20%で貸し付ける!そりゃ儲かりますと・・・



この景気の良い明るいレース、、、
しかし、そして、業界の状況は激変しました。

【ダイナム_消費者金融との関係】
消費者金融とパチンコの関係です。



【ギャンブル市場の市場規模】
前回も出しましたが、
ギャンブル市場の市場規模はこんな感じになっているんだそうです。
ダイナム2_市場規模推移
 
01年から02年にかけて若干増加するも、03年以降は減少に転じる。
06年から10年には5年間で10.2兆円もの市場縮小してることになります!!
(中でも06年から07年にかけて大幅に4.5兆円減少!)

この恐ろしい理由はなぜでしょうか?というものです。


パチンコ業界の業界誌や、パチンコ/パチスロ製造メーカー(SANKYOとか)は、揃いもそろって
法律が改正されたことにより、
「07年10月より射幸性が高い機種(4号機)の設置不可となり、パチンコのギャンブルへの魅力がなくなったため」と説明しています。

4号機というのは、ギャンブル性が高く、ジャンジャンばりばり出すぎるタイプの機械のことだそうです。
パチンコ業界は、グレーゾーンなギャンブルであるため監督官庁の規制が強く
「どれぐらいの出玉まで出していいですよ」というのは規制する人がルールで決めているのです。
実際には保通協という警察の天下り団体が検定という形で決めているそうです。

ギャンブル性が低い機械は、ギャンブルとしての魅力が低いためみんなやらなくなりました。
それは確かにあるのでしょう。
しかし、5年間で10兆円ぐらいなくなりました。
そうですか・・・???それだけですか?

先日の「水増しの市場規模」で記載したように、
ギャンブル市場は「再投資」という特殊な要因があるため、
ただちに初期投資額を意味しません。念のため・・・


話は一度、パチンコを離れ、消費者金融業界に移ります。

【パチンコホールの取り分】
いったん話は逸れますが、ダイナムのIR資料を見るとこんなことがわかります。
なんとホールが取ってる取り分率が分かってしまうのです!
ギャンブラーにとっては各パーラーの取り分率、是非知りたいですよねぇ・・・
ダイナム2_PL sales
Source:ダイナムIR資料(目論見書 P183)

Gross pay-ins(A):パーラーに来た人が、台に投入した総投資額
Gross payouts(B):このうち、台から払いだされた金額
Revenue(C):差し引きのパーラーの売上(A-B)
この(C)の差し引きパーラー分が、パーラーの人件費、賃料、電気料金、新台入替費用の原資となります。
ちなみにですが、IFRS基準では(C)を売上としており、日本基準では(A)を売上としています。

これから、C/Aでユーザーがパーラーに投入した金額のうち、
何%がパーラーが持って行って、
何%が払いだされたかわかります。

10年は19.2%をパーラーが持って行って、80.8%がギャンブラーに払いだされていることがわかります。
その他のギャンブルの還元率
宝くじ 45.6%
競馬  75%
と比べると
パチンコの還元率80%は案外高いということになります。

しかしながら、具体的な数字に落としてみますと、
「今日はパチンコで大勝した!8万儲けた!」ってパチプロが1人いたとしたら、
その陰で「あぁ、2万も投資したのに1円も出なかった・・・」っていう素人が5人いるっていうのは、還元率80%になります。
結構シビアですね。
う~ん、やりたくない。
当然のことながらギャンブルは永遠に続けると負ける仕組みになっています。






【ほんとうの初期投資額】
なんでこんな市場規模とか、パーラーの還元率とか周りくどい話をしたのかっていうと、
ギャンブル市場は、「再投入」という特殊要因が入っているからです。
80%の還元率のキャッシュが翌日以降の投資原資として、再投入されているため、
このまま他の市場(たとえば外食)と比較すると、数値が整合しないこととなります。
この再投入を抜きにして、ギャンブル市場に流入してくる初期投資額を求めたかったからです。


まずは分かりやすく、
「ギャンブラーは、回収した金額を全額再投資に回し、永久に搾取されるとして」
r(再投入率)は100%とします。

累計の市場規模をVとします(19.4兆円)。
最初の投入金額をxとします(このxが求めたい金額)。
負ける確率をyとします。

V(市場規模)
x(投入額)
y(負ける率)


今の累計市場規模Vは、
1回目は初期投資額x全額になります。
2回目は、初期投資額xに勝つ確率(1-y)となります。
3回目の投資は、この初期投資額xに(1-y)を2回乗じた金額となります。以下同様です。
計算式にすると下記のようになります(^は乗数)。
V       = x + x(1-y) + x(1-y)^2 + x(1-y)^3 + x(1-y)^4 + x(1-y)^5 + ・・・ + x(1-y)^n

両辺に(1-y)を乗じて、両辺を差し引きます、
V(1-y)=      x(1-y) + x(1-y)^2 + x(1-y)^3 + x(1-y)^4 + x(1-y)^5 + ・・・ + x(1-y)^n + x(1-y)^(n+1)


V       = x + x(1-y) + x(1-y)^2 + x(1-y)^3 + x(1-y)^4 + x(1-y)^5 + ・・・ + x(1-y)^n
V(1-y)=     x(1-y) + x(1-y)^2 + x(1-y)^3 + x(1-y)^4 + x(1-y)^5 + ・・・ + x(1-y)^n + x(1-y)^(n+1)
青の部分が消去されるため、
V – V(1-y)=x - x(1-y)^(n+1)
となります。

ここで、 x(1-y)^(n+1)について、nは∞回繰り返すため、limで∞まで飛ばすと、この部分はゼロに収束します。
んでもって、xを元に整理すると、
初期投資額 x = 投資累計額V × 負ける確率y となります。



いやいや、ギャンブラーと言ってもみんながみんな、全額投資し続けるなんて現実的じゃないでしょ
「勝った!焼肉行って!ぱーっと飲もう!」
投資額はどこかで減耗するでしょう!という方のために、
次は、再投入率 を含めた計算式をやります。
r(再投入率)と表記します。


上記の前提に 勝った投資回収金額のうち、r(再投入率)のみを市場に投入するという仮定にすると、
1回目は初期投資額x は同じ。
2回目は初期投資額x に勝つ確率(1-y)を乗じて、さらに、再投入率rを乗じた金額になります。
3回目は、2回目の投資額にさらに、勝つ確立(1-y)にさらに再投入率rをもう一度乗じる金額になります。以下同様です。
計算式にすると、
V        = x + x(1-y)r + x((1-y)^2r^2 + x(1-y)^3r^3 + x(1-y)^4r^4 + x(1-y)^5r^5 + ・・・ + x(1-y)^n r^n
V(1-y)r =      x(1-y)r + x((1-y)^2r^2 + x(1-y)^3r^3 + x(1-y)^4r^4 + x(1-y)^5r^5 + ・・・ + x(1-y)^n r^n + x(1-y)^(n+1)^r(n+1)

x(1-y)^(n+1)^r(n+1) について、nをlimで∞まで飛ばすと、同様にゼロに収束する。
xを元に整理すると、
初期投資額 x = 初期投資額V× {1-(1-負ける確率y)×再投入率r}
となります。
 x=V(1-(1-y)r)


【本当の市場規模】
具体的な数値にしてみます。
IR資料によると、ダイナムの過去の3期平均の負ける率y=19%でした。
このダイナムの平均負ける率を業界平均としますと、再投入率rと初期投入金額xの関係は下記の通りとなります。

ダイナム2_シュミレーション

19.4兆円という盛りに盛った数値から、
再投入率100%では初期投資3.7兆円
再投入率80%ですと、初期投資6.8兆円まで減少します。
風俗産業 「5兆6,884億円」の近いところまで来ていますね。
(キャバ嬢とホストの関係もお互い再投資し合ってる市場っていうのはありますが・・・)

宝くじのような1発どかんと当てたらゲームから降りる人はいるだろうけど、
パチンコのように当ててもギャンブルから引退できるほどの金額を当てることができるわけでもないギャンブル
生活に密着している系のギャンブルですし、
8:2の法則が使えるとすると、本当の流入額は6.8兆円ってところでしょうか・・・



次回の消費者金融との深ーい関係に続きます。

【市場規模について】
今日は、市場規模について書いていきます。
そもそも市場規模ってなんでしょう?
市場規模の定義は
「ある特定の財・サービスの売上高を特定の期間で合算したもの。
ただし、対象とする市場の定義によって数字が大きく変わる。」とあります。




【ギャンブル市場の市場規模_時系列推移】
ダイナムのIR資料によると(ネタ元は矢野研とあります)、ギャンブル市場の推移でみるとこんな感じになっているそうです。
ダイナム2_市場規模推移

2010年度で24.8兆円の規模があり、
ざっくり、パチンコが7~8割程度を占めて、宝くじが0.5割程度競馬が1割という構成になっています。
06年から07年にかけてずどーんと4.5兆円減少して以降10年までずっと減少して行っていますね。

パチンコ以外の産業の市場規模は大きく変動していないように見えるので、ギャンブル市場規模の主要減少要因はパチンコということになります。
全体としては減少して行っているというのが、ここ数年のトレンドなんだそうです。




【レジャー産業の市場規模_2011年】
さて、パチンコはレジャーというくくりの中に入るそうです。
パチンコとかのギャンブルと外食を同じくレジャーとしてくくるのがいいのか?という疑問は若干ありますが・・・
月々の給与をどう活用するのか?という視点からはレジャーとしてくくってるのでしょう。

このレジャー産業の中の市場規模比較を見ますと、パチンコ/パチスロ市場の市場規模は19.4兆円(2011年)とのこと。
外食17.4兆円をも上回る規模に上るんだそうです。
ダイナム2_レジャー産業

この他、レジャー業界以外の市場規模と比較してみると・・・
家電小売市場 「9兆5,000億円」
住宅リフォーム市場 「7兆2,200億円」
ネット通販市場 「6.7兆円」
風俗産業 「5兆6,884億円」
競馬市場 「3兆3,280億円」
宝くじ 「9,875億円」
アダルトビデオ市場 「4000~5000億円」
国内ゲーム市場 「4,936億6000万円」
オンラインゲーム市場 「2,131億円」
http://matome.naver.jp/odai/2129920304031289601?page=1&viewCode=WP&grid=false
となっているそうですが・・・

パチンコ市場ってそんな規模あります?!と疑問に思います。
冷蔵庫とかI-phoneの家電小売9.5兆円の2倍もある?!


市場規模の定義にある「ただし、対象とする市場の定義によって数字が大きく変わる。」というものが頭をもたげてきます。
これはどういうこと?!っていうのを考えて行きます。


市場規模は、その業界が総売上です。
産業によってコスト構造とかは異なりますので、ただちに利益とは直結しません。
ですので、単一の業界のみを見て行く上では時系列でみればいいんですが、
他業界と比較する上では、納得のいく数値か?というのを検討する必要があります。

カギは、「再投資」ということにありました。
つづく・・・

【競合パチンコホールとの比較】
国内パチンコホールの比較の資料は、下記の通りになっています。
ダイナムの上記のIR資料から持ってきています(P110)。
 
ダイナム1_ホール間比較1

オレンジに塗ってある「total gross pay-ins」がパチンコパーラー全体に入ってきた総キャッシュイン金額です。パーラーに勝負に来た人が、投入口に投入した掛け金総額を意味しています。
Approximate of total number of machinesがパーラーが保有/稼働しているパチンコの台の比率
Number of halls が各社のホールの数
Approximate of total number of halls がホール数の割合(シェア)を意味しています。
A社は、和田あきこがテレビCMしてる「マルハン」です。


この資料を見てどんなことを思うでしょう?
上位10社で市場の25%なので、それ以外の規模の小さいパーラーがたーくさんあると産業ということになるでしょう。
その他は?


1)機械導入台数と総キャッシュインの関係
あれ?機械導入台数は、マルハン3.7%に対して、ダイナムは3.3%と差が0.4ポイントしかないにも関わらず、
総収入額(投入口に投入した掛け金総額)は10.5%と4.4%と2倍以上の差が開いている。

具体的な数字にしてみますと、
別の資料から、2010年度のダイナムの機械台数は、パチンコ112,627台、パチスロ32,670台の合計145,297台と分かります(P222-223)。
また、2010年度のGross pay-insは8,620億円と分かります(P221)。
このことから、
マルハンはマシン台数は162,908台(=145,297台÷3.3%×3.7%)とそれほど差がないにも関わらず、
マルハンの総収入額は、2兆570億円(=8,620億÷4.4%×10.5%)とものすごい差があります。


そこで、指標を比較できるように総収入シェアを機械台数割合で割って比較してみました。
*2:ダイナム基準とあるのは、比較するためにダイナムを100%とした場合の他社の数値です。

ダイナム1_ホール間比較2


これは、同じ機械を置いた場合、パーラーによってどの程度、資金回収効率がいいのか?ということが分かります。
高ければ高いほど、機械の売上効率、台の稼働率が良い(台が空席になりにくい)ということになります。
これは、
・お客さんがたくさんくる(数量)
・来店したお客さんがどんどん投入する(一人あたり単価)
ということに分解できますね。

AのマルハンやD社/H社はダイナムの2倍以上の効率の良さを誇っていますね!
また、B社はダイナムの3倍という高さです。
ダイナムは、あんまり売上効率が良くないという一言になると思います。
効率面では、ダイナムを下回っているのはC社の68%だけであり、それ以外は軒並みダイナムよりも効率高い!!


この理由は何なのか?を考えてみます。


仮説1:都心型と郊外型の違い
都心型の方が立地条件が良いため又は逆のため、長い時間お客がつく(数量)

仮説2:他社と比較して、還元率を高くしてお客を付かせる
じゃんじゃんばりばり出させることで、人気のパーラーとして、お客さんがいっぱいくるパーラーとする
例えば、他社が還元率80%のところ、90%として、どんどん投入してもらう。(数量)

仮説3:新台をどんどん投入して、古い台は置かない省スペース戦略を取っている
台が新しく導入されまくるため、お客さんはどんどん来店する
これは、ギャンブル性より、中のアニメーションが楽しいということを前提としている。
多額の台への初期投資を行うが、お客さんを稼ぐ(数量)
あんまり台を置かない都市型にマッチしているのでは?

仮説4:低価格パチンコの導入の有無/程度
4円ぱちんこのほか、2円/1円パチンコなどギャンブル性の低い低価格パチンコが出てきている。
低価格パチンコをたくさん導入すると、比率は下がる(価格)。



さらに他の指標も考えてみます。



2)各ホールにある平均設置台数
機械台数割合をホール数で割ることにより、ホールに設置してある平均台数が分かります。

ダイナム1_ホール間比較3

グリーンにしてあるのは、機械台数が多い郊外型のホールをメインにしている会社です。
九州に出張に行った時に、7階建ぐらいの巨大立体駐車場を完備したショッピングモールかと間違うような超巨大ホールがありました。
G社やI社はこんな巨大なホールを基盤としている郊外型なのでしょう。
でもあれ?と。
思うのは、あんまり、都市型も郊外型も設置台数ってそんなに違わないの?ということです。
先のG社/I社の大型戦略を取っているホールは除くとして、それ以外では、ホールあたりの設置台数は10%~20%程度しか違わないのです。

ダイナムを基準とした数値でみると、軒並みダイナムよりも上回っており、
ダイナムは、他社と比較して、店舗当たりの設置台数は多くないということが分かります。
手数(ホール数)が多く、都市型と言えると思います。


仮説5:都市型も郊外型でも1店舗あたりで最適にフィットする台数がある。
オペレーションの都合なのか、
ある程度の製品ラインナップをそろえるとこうなるのか、
出店可能地域が限定されているのか、



3)ホール間比較
あらためて、1)と2)の結果を比較してみました。
ダイナム1_ホール間比較4




気になる点1:低価格パチンコの導入だけが要因?
結局一言でいうと、ダイナムは、あんまり投入売上の業績が良くないです。
B社には3倍もの差を開かれているし、A社、D社、H社にも2倍以上の差をつけられています。
トップラインが振るわないと、それ以下のオペレーションでうまくやろうとしても選択肢は限られてしまいます。
フライングになりますが、ダイナムが今推し進めているのは、「投入単価が低い低価格パチンコ店舗」の増設です。
しかしながら、2010年当時も今もそんなにはないのです。なので低価格路線だけが要因ではないはずです。

気になる点2:大型店舗だけど、効率に差があるのはなぜか?
同じ大型店舗(恐らく郊外型)のG社,I社は、なぜ差があるのか?
ものすごく気になります。


次のステップは、実際の数値の面だけで表現できない個所を実際に、
効率の良いB社やD社、A社それはなぜなのか???
次回以降は、この理由が、将来にも及ぶ影響なのか?一時的な要因なのか?を検討していきます。

【ダイナムという会社】
第1回のテーマは、ダイナムという会社です。
凄いですよ!ダイナムさん。
なんと12年度は、9,083億円(日本基準)、1,650億円(IFRS基準)もの売上を誇っております。
国内では業界第2位の売り上げを誇る会社です。


知らない人は、ダイナムってなんですか?プロレス団体ですか?かっこいいですね!と思うかも知れませんが、、、
12年X月に、香港市場に上場した日本のパチンコパーラーです。
なお、ダイナムは日本では上場せずに、香港市場でのみ上場しています。


えっ!?国内で上場しないで、いきなり海外上場っすか?!
グローバル企業ですねぇ~!と思うかもしれませんが、
ダイナムは規制産業であるパチンコ業界にあって、国外売上はありません。純粋に100%国内売上から構成されています。


いきなり国外上場した理由は、日本では上場できなかったため、中国で上場したということのようです。
以前、「ピーアーク」というパーラーの会社が、日本国内での上場を試みましたが、認められなかったようです(「ピー!!」ってしゃべる黄色いキャラクターがいます。)
日本の証券取引所は上場の実質基準の「反社会的勢力との関連がないこと、体制の整備」をクリアできなかったとか
利益操作/売上操作が比較的容易ではないか?という懸念が理由のようです。


今回はこちらの上場申請時の資料を使って見て行きます。

【財務分析_というかIR資料を読んで気がついたこと】
今回から複数回にわたって、財務分析っぽいことをブログを書いていきます。
厳密には、「有価証券報告書を読んで気がついたこと」のことを書いていきます。


【指標至上主義からの脱却】
ここでは、よくある「指標至上主義」から脱却することを目的にしております。
指標市場主義とは、例えば、「当座比率」が100%を超えています!
ですのでこの会社は、安全です(キリッ!)みたいな思考停止状態になることは出来るだけ離れて、
会社の中身や業界の状況を知るということから始めましょう ということを書いていく予定です。

簿記1級とか、会計士2次試験の経営学とかでは、
Step1:指標を計算しよう!
Step2:その指標を使って、A社とB社はどちらが収益性/安全性が高いでしょう?
みたいな記述をさせる問題を出します。
その昔は「おぉ、こんな指標計算できたら、なんかプロっぽい!かっこいい!」みたいに思っていました。

そんでもって、その後、会計事務所に就職して、
クライアント先で、「同業他社のA社と比較すると、XXがこうなってます!だから外注費を減らしましょう!」みたいなことを申し上げておりました。
マジでマジで恥ずかしいですな・・・今思うと。

こういった「指標市場主義」の視点からだけを持って、「財務分析」と言ってる場合、
往々にして、「会社の実態はどうなっているのか?」という視点が抜けていること多いと感じています。
例えば、同業他社であるA社とB社の原価構造が違う場合、
その理由は、
・A社は高級品押しだけど、B社は低価格品押し!とか
・事業の「ステージ」が違う
・C事業のコストの混入していて、その影響が大きい
などなど理由がいろいろあるはずです。


【答えのない世界】
そうなんです。
本当は財務分析とはこういった理由をもっと突き詰めて、これからどうなるのか?ということを、
答えのない世界を「考えてみる」ということに気がました。
合っているか、間違っているか?分かりませんし、後から見返したら恥ずかしいだろうけど書いちゃいます。

税金は誰でも払いたくはないものですが、無視すると、奴らはどこまでも執拗に追いかけてくる面があるのも税金です。
紙で何回か催促されたのち、区役所の人が実際にドアをピンポンしてきます。
まさに取り立て!

まずは、一般的な住民税の計算からおさらいします。


【納税義務】
住民税は誰が払う義務があるかというと、その年度の1月1日現在に住んでいる人です。
例えば、平成24年度の住民税は、平成24年1月1日現在に住んでいる人が、住民票を置いている市区町村に払う必要があります。
お正月の到来とともに、
区役所の人が
「明けましておめでとう!晴れて住民税を支払えるね!」とお年玉替わりに言ってくるのです。

なお、納税額は前年度の所得を元に計算されます。
ですので、一般的に大学4年時には所得がないため、サラリーマン1年目は住民税を納付する必要がありません。
住民税1


【支払日】
サラリーマンの場合、支払日は1年間分をまるっと一括して納めるというものではなく、12分割して納付します。
1年間の納税額を6月から翌5月にわたり12分割して納付します。


【支払方法】
会社に在籍している期間は、月々給与天引きされ納付されますが、
会社を退職後の期間は、給与天引きされないので(そもそも天引きされる前に給与がない)自ら納付する必要があります。

住民税2


【サラリーマン退職後の住民税】
サラリーマン退職後は、会社を辞めた後の月も払う必要があります
例えば、9月末で退職した場合、10月から翌5月までの8回分が残額として残っているため払う必要があります。
11月から海外に移動するとしても、上記8回分は、平成24年分の税金であるため、支払う必要があります。

えー!!なんでやん!もうその頃日本いないよ!
住民でないのに住民税支払えっていうんですか?!って思うかもしれませんが、

しかししかし、
本来、平成24年度の税金が平成24年1月1日現在で発生しており、
これをまるっと平成24年1月に「耳をそろえて12ヶ月分支払え!」と言われても仕方ないのです。
ですが、なんと、第1回の支払日を平成24年6月まで延長してくれた上に、
さらになんと、平成25年5月までの12回分割払を認めてくれた!ということなのです!


【外国に移転する場合の住民税の納付解除】
上で、1月1日時点で、お年玉のように12ヶ月分の納税義務が発生する。
と書きましたが、逆に、1月1日時点で外国に移住していれば、住民税は発生しません。

ですので、みなさん、ちゃんと1月までに住民票を移動させればいいのです。
出国予定日が確定している場合には、出国の日の2週間前から提出を受けることができるとのことです。
出国の翌日から日本にはいないことになるとのことです。
また、本人以外にも家族が手続きを行うことが可能なんですと。


【区役所の人に電話】
国民健康保険という病気とかになった際の保険は、住民票を移動させると入れなくなります。
必要があれば任意の保険に入る必要があります。 
などなど、
世帯主区分/子供の有無/社会保険の有無等で払った方が得だったりする場合もありますです。
区役所の人に電話してご確認ください。

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