【競合パチンコホールとの比較】
国内パチンコホールの比較の資料は、下記の通りになっています。
ダイナムの上記のIR資料から持ってきています(P110)。
 
ダイナム1_ホール間比較1

オレンジに塗ってある「total gross pay-ins」がパチンコパーラー全体に入ってきた総キャッシュイン金額です。パーラーに勝負に来た人が、投入口に投入した掛け金総額を意味しています。
Approximate of total number of machinesがパーラーが保有/稼働しているパチンコの台の比率
Number of halls が各社のホールの数
Approximate of total number of halls がホール数の割合(シェア)を意味しています。
A社は、和田あきこがテレビCMしてる「マルハン」です。


この資料を見てどんなことを思うでしょう?
上位10社で市場の25%なので、それ以外の規模の小さいパーラーがたーくさんあると産業ということになるでしょう。
その他は?


1)機械導入台数と総キャッシュインの関係
あれ?機械導入台数は、マルハン3.7%に対して、ダイナムは3.3%と差が0.4ポイントしかないにも関わらず、
総収入額(投入口に投入した掛け金総額)は10.5%と4.4%と2倍以上の差が開いている。

具体的な数字にしてみますと、
別の資料から、2010年度のダイナムの機械台数は、パチンコ112,627台、パチスロ32,670台の合計145,297台と分かります(P222-223)。
また、2010年度のGross pay-insは8,620億円と分かります(P221)。
このことから、
マルハンはマシン台数は162,908台(=145,297台÷3.3%×3.7%)とそれほど差がないにも関わらず、
マルハンの総収入額は、2兆570億円(=8,620億÷4.4%×10.5%)とものすごい差があります。


そこで、指標を比較できるように総収入シェアを機械台数割合で割って比較してみました。
*2:ダイナム基準とあるのは、比較するためにダイナムを100%とした場合の他社の数値です。

ダイナム1_ホール間比較2


これは、同じ機械を置いた場合、パーラーによってどの程度、資金回収効率がいいのか?ということが分かります。
高ければ高いほど、機械の売上効率、台の稼働率が良い(台が空席になりにくい)ということになります。
これは、
・お客さんがたくさんくる(数量)
・来店したお客さんがどんどん投入する(一人あたり単価)
ということに分解できますね。

AのマルハンやD社/H社はダイナムの2倍以上の効率の良さを誇っていますね!
また、B社はダイナムの3倍という高さです。
ダイナムは、あんまり売上効率が良くないという一言になると思います。
効率面では、ダイナムを下回っているのはC社の68%だけであり、それ以外は軒並みダイナムよりも効率高い!!


この理由は何なのか?を考えてみます。


仮説1:都心型と郊外型の違い
都心型の方が立地条件が良いため又は逆のため、長い時間お客がつく(数量)

仮説2:他社と比較して、還元率を高くしてお客を付かせる
じゃんじゃんばりばり出させることで、人気のパーラーとして、お客さんがいっぱいくるパーラーとする
例えば、他社が還元率80%のところ、90%として、どんどん投入してもらう。(数量)

仮説3:新台をどんどん投入して、古い台は置かない省スペース戦略を取っている
台が新しく導入されまくるため、お客さんはどんどん来店する
これは、ギャンブル性より、中のアニメーションが楽しいということを前提としている。
多額の台への初期投資を行うが、お客さんを稼ぐ(数量)
あんまり台を置かない都市型にマッチしているのでは?

仮説4:低価格パチンコの導入の有無/程度
4円ぱちんこのほか、2円/1円パチンコなどギャンブル性の低い低価格パチンコが出てきている。
低価格パチンコをたくさん導入すると、比率は下がる(価格)。



さらに他の指標も考えてみます。



2)各ホールにある平均設置台数
機械台数割合をホール数で割ることにより、ホールに設置してある平均台数が分かります。

ダイナム1_ホール間比較3

グリーンにしてあるのは、機械台数が多い郊外型のホールをメインにしている会社です。
九州に出張に行った時に、7階建ぐらいの巨大立体駐車場を完備したショッピングモールかと間違うような超巨大ホールがありました。
G社やI社はこんな巨大なホールを基盤としている郊外型なのでしょう。
でもあれ?と。
思うのは、あんまり、都市型も郊外型も設置台数ってそんなに違わないの?ということです。
先のG社/I社の大型戦略を取っているホールは除くとして、それ以外では、ホールあたりの設置台数は10%~20%程度しか違わないのです。

ダイナムを基準とした数値でみると、軒並みダイナムよりも上回っており、
ダイナムは、他社と比較して、店舗当たりの設置台数は多くないということが分かります。
手数(ホール数)が多く、都市型と言えると思います。


仮説5:都市型も郊外型でも1店舗あたりで最適にフィットする台数がある。
オペレーションの都合なのか、
ある程度の製品ラインナップをそろえるとこうなるのか、
出店可能地域が限定されているのか、



3)ホール間比較
あらためて、1)と2)の結果を比較してみました。
ダイナム1_ホール間比較4




気になる点1:低価格パチンコの導入だけが要因?
結局一言でいうと、ダイナムは、あんまり投入売上の業績が良くないです。
B社には3倍もの差を開かれているし、A社、D社、H社にも2倍以上の差をつけられています。
トップラインが振るわないと、それ以下のオペレーションでうまくやろうとしても選択肢は限られてしまいます。
フライングになりますが、ダイナムが今推し進めているのは、「投入単価が低い低価格パチンコ店舗」の増設です。
しかしながら、2010年当時も今もそんなにはないのです。なので低価格路線だけが要因ではないはずです。

気になる点2:大型店舗だけど、効率に差があるのはなぜか?
同じ大型店舗(恐らく郊外型)のG社,I社は、なぜ差があるのか?
ものすごく気になります。


次のステップは、実際の数値の面だけで表現できない個所を実際に、
効率の良いB社やD社、A社それはなぜなのか???
次回以降は、この理由が、将来にも及ぶ影響なのか?一時的な要因なのか?を検討していきます。