さて、いよいよやっとコストを見て参ります。
ここでも分解、分解、分解がKeyになってきます。


再び連結PLを提示します。
PL外観_5つのコスト 
ミドリの部分がコストになっています。
そしてコストは、上から、
1.ホール運営コスト
2.本社管理費用
3.その他運営コスト
4.借入利息等の金融コスト
5.税金コスト
と分類区分されております。

それぞれの中身について簡単にご説明いたします。



1.ホール運営コスト
約350店舗あるホールのパチンコ台の投資コストや人件費、賃料、水道光熱費等が計上されています。
コストのうちの圧倒的大部分を占めています。
この内訳もIR資料 P227に記載されていました。

コスト1の内訳


割合にしてみたらこんな感じです。
コスト1の比率

内容はだいたいイメージ通りの感じですね。
だいたい人件費が3割ぐらい。まぁ、店舗行くと、結構人いますもんね。
玉を運んだりしてくれるみたいですね。
(僕はパチンコで当たったことがないので、運んでもらったことはありませんが・・・)



気になる項目があります。
パチンコ台投資費用と、G-pirzeコストです。

・パチンコ台へのコスト
パチンコ屋さんの最大のサービスであるパチンコ台投資。
パチンコパーラーの価値は、本当は機種への投資ではなく、
いかに「出る期待」を持たせて、お客さんからお金を「気持ちよく」搾り取るところなんでしょうけど、
お客さんは古いパチンコ台じゃなくて新しい機種を打ちたくなるんですかね。パチンコ台への投資結構しています。

どうせ一括費用処理でしょって思ったら、やっぱり一括費用処理していました。
注記によりますと、平均使用年数が10~11ヶ月なんだそうです(the average useful life of our machines was 0.84 year, 0.82 year and 0.94 year,)。
なので、使用期間に合わせて費用処理しているんだそうです。
ダイナムでは、使用開始に一括費用処理しています(As a result, pachinko and pachislot machine expenses are fully recognised in the income statement at the time of use.)。


簿記3級なんかでは、固定資産なんかの償却は月数按分しましょう。
なんてあります。
確かに期末付近(例えば3月20日)に使用を開始したパチンコ台は、期末日までに稼働が10日しかありません(決算日3月31日)。
費用収益対応からすると、平均使用期間である10~11ヶ月で按分して、10日を掛けなければおかしいことになります。

しかしながら、1店舗に300台とかあるので、こんな処理をしてしまうと煩雑すぎて事務員死んじゃいますし、
毎年同じぐらい台への投資を行っていれば、毎年使用開始に一括処理しても結果的に毎年のコストは同じぐらいになるので、
結果的に一括償却OKにしているんでしょう。

しかし、税務上は1台あたり30万円を超える機種もあるので、ちまちま台帳に載せて償却しなきゃいけないんでしょうね。。。
大変です。


・G-prizeコスト
注記にはこんな文言がありました。
(7) G-prize expenses represent the fixed monthly fees paid to G-prize wholesalers.
G-prizeというのは、現金交換所で現金交換してくれるための商品です。
「パチンコはギャンブルではない」ので、こんな風にG-prize卸売業者に資金を流すっていうのは何なんでしょうか?
しかも年間で45~50億円ぐらい流しています。
外目からみると、かなーりブラックなにおいがしますね。これ。

このG-prize expensesと払戻金額の割合を計算してみました。
だいたい0.6%程度が、G-prizeへの取引コストになっているんですね。
これ以上は謎です。



2.本社管理費用
本社の偉い人たちの給与・・・というものだけでなく、
間接部門の人員(IRとか法務とか人事とか)であり、ホールじゃない人のコストです。

コスト2
内訳をみると、2012年は圧倒的に増加しています。
上場に伴うコストが計上されているのだと思います。
まぁ、金額小さいので、これ以上何もなし。




3.その他運営コスト
あっそみたいなのが並んでいます。
コスト3



5.税金コスト
コスト5
税金は、だいたい利益の40%ぐらいですね。
税率を見るとちょっと超えています。

ここから何が読み取れるのか?っていうのは今後の課題ですが、
「パチンコ屋」っていうと、脱税!みたいなダーティーなイメージが強いと思うんですが、
実際には、ダイナムさんは120億円もの巨額の税金を納めています。
国家に対するみかじめ料みたいなもんなんですね。

繰欠を使いまくって税金なんて払ってない会社がいっぱいいる中で、
ちゃんと納税していて、本当に立派な会社です。




ざっとコストですが、こうやって数値を並べてもやっぱり企業の中身分かりませんし、
全く面白くありません。
コストについても、収益と同様に同様に分解分解分解していく必要があります。


次回は、コストを店舗別に分解して、面白い傾向が見れました。