何回も出てきているホール運営コストです。
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さて、店舗運営コストを、運営している3ブランドに分解してみます。
分解したものは総額で表示されています。
もちろん、この合計金額は、全社コスト合計と一致します。

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店舗数による影響があって、
比較しづらいのと、イメージがしづらいので、
ブランド別をさらに店舗数で按分して、
1店舗あたりの数値を出してみます。

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店舗別に分解すると、いろいろな面白いものが見えてきます。
なお、以下の比較では、10年は「信頼の森」店舗を大きく増加させており、数値安定していないので比較からは除外します。



①店舗運営スタッフ人件費
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ホールの人員数って同じぐらいかと思っていましたが、実は人員数が異なることが分かりました。
ふつうのダイナム:約170百万円/店舗
ゆったり館:約100万円/店舗
信頼の森:約80百万円/店舗
「ふつうのダイナム」が10人だとすると、「ゆったり館」は7人程度、「信頼の森」は5人程度となります。


ただし、店舗あたりの人件費を単純に絶対金額だけで比較してしまうと、
「ふつうのダイナム」が郊外大型店で人がたくさん必要となるなどミスリードの原因になるため、
店舗の広さも考慮に入れる必要があります。
台の設置台数が、店舗の広さと比例すると仮定して、ブランド別の設置台数も見てみました。


ブランド別の設置台数と、各店舗あたりの設置台数はこんな感じです(パチンコとパチスロを合わせています)。
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ふつうのダイナムは約480台/店舗
ゆったり館は約400台/店舗
信頼の森は約400台/店舗となっています。
つまり、店舗あたりの機械設置台数は、
11年、12年ともに高単価パチンコである「ふつうのダイナム」が、低単価パチンコ「ゆったり館」/「信頼の森」の1.2倍です。
店舗の広さを考慮しても、面積当たりの店員数は、「ふつうのダイナム」はいっぱいいる一方、「信頼の森」/「ゆったり館」は少ないことがわかりました。


結論として、「ふつうのダイナム」は他の店舗形態に比べて従業員が多いということがわかりました。




ここからが、この数値から考える主張の部分です。
僕は、会社の財務分析は「価値」とともに考えるべきであると思っています。
安全性が高いとか低いとか、収益性・・・うんぬんというのは、
財務分析の1側面に過ぎなくて、「価値」にフォーカスして会社をみる必要があるのです。

さて、ギャンブラーがパチンコをする際に、一番重視する「価値」は何か?ということを考えてみます。
丁寧な接客応対(玉を運んでくれる、なんかあったら、すぐに来てくれる)をしてくれる店
②従業員は少ないものの、ジャンジャンばりばり出たり、常に新しい台が揃っている

もちろん、①も②も両方満たすホールが一番良いのですが、
経営資源に限りがある以上、どちらかを選ぶ必要がある
・・・となった場合、何に価値を置くでしょうか?

もしも、②ジャンジャンばりばり出ることに力点を置くのであれば、
「ふつうのダイナム」において、人件費の削減が可能だと思います。
人件費を削減して、台の投資やジャンジャンばりばり出す方向に行った方が良いと思います。

また、低単価パーラーと比較すると、店舗の広さも同じで、「信頼の森」よりも「ゆったり館」の方が高い人件費ですから、
オペレーションの仕方によっては、「ゆったり館」は人件費削減が可能だと思います。


ただし、この「価値」というのは顧客が感じる価値ですので、
もしかすると、地域であったり、対象となるターゲット年齢によって異なる可能性があります。