パチンコ界のデフレ現象、低貸し玉パチンコ/パチスロが上手く行ったのか否か、ということを考えてみます。

低貸し玉パチンコというのは、
ギャンブル中毒から自己破産者が多発したことは「ギャンブル性の高さが問題である」という批判をかわすため、ギャンブル性を低くしようとしたこと、
同時に、負の業界イメージが付いてしまったことを払拭し、パチンコをもっと身近な娯楽として普及させようとするパチンコ業界の思惑が背景にあり、
従来のパチンコの貸し玉4円、スロット貸し玉5円という一定のレートを緩和し、2円や1円などのギャンブル性を低くする流れのことです。
ダイナム6~10当たりの中で記載したような消費者金融業者からの資金供給が止められたこともあって、徐々に普及して行きました(たぶん)。

低貸玉ではない、「ふつうのダイナム」、低貸玉を扱っている「ゆったり館」、「信頼の森」のブランド別の利益を見て参ります。
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注:売上総利益というのは、正確ではありませんが、各ブランドのセグメント売上高から店舗運営費用(Hall Operating expenses)を差し引いたものとしています。

会社全体では絶好調で営業利益率20%を確保しているものの、
ブランド別にみると、収益性が異なっています。

一番収益性が高いのは、高単価パチンコの「ふつうのダイナム」約20%です。
次に、低単価パチンコながら、換金率が悪い「ゆったり館」約10%前後です。
そして同じく低単価パチンコである「信頼の森」が営業赤字となっています。

ここまでを一言で言ってしまうと、
「ふつうのダイナム」がいいじゃないか!
…で終わってしまいますが、しかしながら、「信頼の森」は年を経るごとに赤字幅が縮小していますし、
過去は過去として、なぜ収益性が低いのか?や、低貸玉ブランドに成長性がないのか?という視点でみる必要があります。

普通に考えると、低貸玉店舗は2倍から4倍の売上のbehindを抱えています。
例えば、1人のギャンブラーが1つの席を使って、1つの機械を使用して、時間当たりに使う金額は、
4円パチンコが40,000円であれば、
1円パチンコは10,000円にしかなりません。
しかし、お店の賃借料や人件費などの固定費は高貸玉店舗と同様に発生するため、
収益性が悪くなるのは当然なのです。
では、どうやったらいいか?改善の余地がないかという検証をしてみます。



そこで、ホール運営コストのうち主なものを見て行きます。
下記は、ブランド別・費目別に店舗平均コストを計算したものです。

①パチンコ台投資費用
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パチンコ台投資費用は、「ふつうのダイナム」は店舗当たり150M前後ですが、低貸玉店舗の「ゆったり館」「信頼の森」は投資額が1/2~1/3程度になっています。

既出ですが、ブランド別の設置台数と、各店舗あたりの設置台数はこんな感じです(パチンコとパチスロを合わせています)。
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機械の設置台数は、パチンコ/パチスロ合計して、
ふつうのダイナムは約480台/店舗
ゆったり館は約400台/店舗
信頼の森は約400台/店舗と設置台数はさほど変わりません。


別に低単価パチンコでも高単価パチンコと機械の構成部品/スペックは全く同じですから、仕入単価は変わりません。
ですので、
・新台導入をあまり導入しない(回転が長い)
・低単価店舗(「ゆったり館」と「信頼の森」)は単価の安い中古機を基本に使用している。
ということかと思います。





②宣伝広告費
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広告宣伝費も台投資費用と同様に1/2~1/3程度に絞っています。
そもそも、対象をギャンブルに「どっぷり」という層を狙っているわけではないという発想なので、
「7の付く日は・・・」のように「出ます!出します!出させます!」みたいにバリバリ宣伝しなくてもいいからなのかもしれません。




【低単価パチンコ店のローコストぺレーション】
低単価パチンコ(「ゆったり館」と「信頼の森」)は売上単価が低い分、とにかく低コストで回そうと頑張っている。
 1.店舗あたり「人件費」が異なる
  ふつうのダイナム:約170百万円/店舗
  ゆったり館:約100万円/店舗
  信頼の森:約80百万円/店舗
 2.店舗あたり台への設備投資コストを大きく抑えている
  高貸玉の1/2~1/3程度 
  「ふつうのダイナム」の中古台を使用している、または、同じ機種の使用期間が長い
 3.広告宣伝費も大きく抑えている
  高貸玉の1/2~1/3程度
 4.一方、ブランドによって変わらないコストもある。
  ⇒水道光熱費/賃借料/G-pirze関連コストなどの固定費




限られた資源の中で、固定費をどうやって上手く回収できるように工夫できるか?難しいかじ取りだなぁ~と思います。

低貸玉パチンコを導入した狙いとしては、2つが考えられます。
①ギャンブル性を低くすることで、これまでユーザーでなかった若者層を取り込む
②消費者金融への引き締めなどがあり、高単価パチンコで遊びにくくなった既存ユーザーを引きとめる

市場規模の推移からすると、市場全体は縮小し続けています。
成功のシナリオとしては①かつ②の両方を取り込むことです。

しかし、蓋を開けてみれば、

①の新規ユーザーの取り込みには失敗しているように思います。
これは、FXやモバゲーとのガチンコの戦いになってしまいますが、
所得水準は減少傾向にあり内籠りがかなりのスピードで進行してしまった(ネオ草食化)
FXやソーシャルゲームとの戦いにも、パチンコの広告は既存ユーザーへのアピールが従来と変わらず、
新規層へのパチンコの魅力をアピール出来なかった…
すると、②ですが、既存ユーザーだけをみると、
低単価パチンコが出てくると、全体の総売上や利益は減少する傾向にあります。

この結果、低貸玉パチンコは「失敗だった」と思います。
いっそのこと、「カイジみたいな自堕落な生活を応援します!」と開き直れば良かったのに・・・



まだしばらく先でしょうが、
パチンコ業界はゲームセンター業界と同じような運命をたどる気がします。